【ソウル】韓国の李明博大統領は29日、テレビの全国放送で、北朝鮮による延坪島砲撃事件を受け北朝鮮が韓国領土を再度攻撃した場合には反撃すると言明した。その一方で、韓国軍は同日夜発表した延坪島での砲撃演習を、発表から約1時間半後に中止すると明らかにした。
砲撃演習が実施されれば、南北朝鮮の新たな衝突を引き起こすのではないかとみられていただけに、中止は韓国側の自制的な姿勢を浮き彫りにした。北朝鮮は、延坪島への砲撃について、韓国軍が行った同島での同様の砲撃演習への対抗と説明している。
しかし北朝鮮はここ数日間、非難の矛先をこの砲撃演習から、国連軍が設定した黄海上の韓国と北朝鮮との北方限界線(NLL)に向けるようになっており、北朝鮮が定めた軍事境界線の正当性を主張している。北朝鮮はNLLでは貨物船や漁船が同国南西部から公海に出るのに遠回りをしなければならないことなどから、NLLの有効性を認めていない。
今年3月の韓国軍の哨戒艦沈没事件後にも、北朝鮮はNLLを否定する声明を発表し、軍事アナリストの間では北朝鮮が1月に複数の地点から1地点を狙った400発の砲撃を行ったことから、NLLに近い延坪島など5島のうちの一つに砲撃を加えるのではないかとの憶測が出ていた。
米国の韓国国防問題の専門家であるアンジェロ・テキサス州立大学のブルース・ベクトル教授は、「延坪島砲撃は、韓国を恫喝するとともにNLLを世界の関心事にするために、慎重かつ用意周到に計画されたものだ」との見方を示した。
韓国の世論調査の中には、80%もの回答者が砲撃に対する同国の対応が弱腰だと怒っている、との結果が示されたものもある。
李大統領は、北朝鮮の砲撃は非人道的なものだと強く非難し、同様の攻撃を仕掛けた場合には「必ず相応の代価を支払うことになる」と警告した。