最後まで検察批判を繰り返し、強気の姿勢を貫いた新党大地代表の鈴木宗男前衆院議員(62)が6日収監された。最高裁の上告棄却後の約3カ月間、地元をこまめに回り、後援会の維持に精力を注いできた。来年4月の統一地方選には支援する候補が出馬するものの、鈴木前議員の代役をこなせる後継者は今のところ見当たらず、「一つの時代が終わった」との指摘も出ている。【山田泰雄、本間浩昭、田中裕之】
◆「生涯政治家」
「浅野(貴博衆院議員)を釧根の代議士と思って多いに使ってほしい」。先月上旬、上京した小船井修一・釧根連合後援会長に、鈴木前議員は強調した。後援会の恒例行事には、鈴木前議員に代わり衆院比例道ブロックで当選した浅野氏と妻典子さんを必ず出席させることを確認した。
鈴木前議員は、9月8日の上告棄却直後の10、11日には地元の釧路、帯広、北見の3市に入り、後援会の集会で「生涯政治家を続ける」と宣言。6日朝から鈴木前議員に同行した釧根連合後援会の金井関一幹事長は「『留守の間よろしく』と言われたが、鈴木氏に『がんばっていただいた』と言われるような組織強化を図りたい」とコメントした。鈴木前議員の元秘書の蝦名大也・釧路市長も「地元のために何度も力を貸していただいただけに残念。元気で一日も早く帰って来てほしい」と語った。
政治資金規正法違反の罪で起訴された石川知裕衆院議員(37)=道11区=は6日、札幌市でのセミナー後、報道陣に、同じ足寄町出身の鈴木前議員から「裁判を最後まで頑張れ」と言われたことを紹介。「自分は悪いことをしていないという気持ちを常に抱きながら闘っていかなければいけないことを、鈴木さんの背中を見て感じた」と話した。
◆源泉は利益誘導
鈴木前議員は昨年8月の衆院比例道ブロックで約43万票を獲得し、8回目の当選を果たした。その力の源泉は地元への利益誘導だ。
根室市の長谷川俊輔市長は「ここは北方領土問題をはじめ『政治』が必要な地域。開発や振興にも多くの貢献をしてくれた。刑期を全うされ、再び活躍されることを期待します」と話す。千島歯舞諸島居住者連盟根室支部の河田弘登志支部長(76)は「われわれの目指す四島返還と彼がやろうとしていた2島先行には違いがあったが、北方領土問題には一生懸命取り組んでくれた。彼に代わる政治家がいない」と戸惑う。
ただ、地元からは冷ややかな声も。根室市内の自営業者(68)は「(自民党で)権力の中枢にあったころ、彼は『出るくいは打たれると申しますが、出過ぎるくいは打たれないというのも真実』と言っていたが、本人が思うほど出過ぎていなかったのだろう。ああいう古いタイプの政治はもう通用しない」と批判。自民党釧路市支部長代行の黒木満・同市議は「鈴木さんの支持者にも『応援するのは収監までだ』と言う人がいる。(収監は)いずれ来るものが来ただけで、一つの時代は終わった。ホッとしている人は多いはず」と突き放した。
◆世襲に慎重意見
鈴木前議員は収監前の4日も地元を駆け足で回り、来春の道議選や市議選の立候補予定者を同席させて支援を呼びかけた。収監期間は長くて約1年5カ月とみられるが、その後も5年間は選挙に出られない。次期衆院選で誰を後継に立てるのかが課題だ。
長女の貴子氏(24)は鈴木前議員の選挙応援で注目を集めたが、後援会内には「世襲では次に広がらない」などと慎重意見が根強い。鈴木前議員は収監中に解散総選挙があった場合について「私以上のネームバリューと存在感で十分勝負できる人を用意する」と、盟友で歌手の松山千春氏らの擁立を示唆したが、政治家としての手腕は未知数だ。
「(鈴木前議員も)年齢が年齢だし、どんな方法で支持を広げればいいのか」。有力支持者の一人は不安を漏らした。
毎日新聞 2010年12月7日 地方版