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古森義久『主張せよ、日本』と安倍首相との懇談会

2008/09/21 15:04

 

 古森義久氏の新著『主張せよ、日本』(PHP)の「序文に変えて」に次の一節がある。

 

アメリカ下院が2007年、慰安婦問題で日本非難決議を採択した際)日本政府はこの不当な日本叩きの動きに対し、自国側の主張をほとんど表明しなかった。外務省には、同じ日本側でアメリカ議会の事実誤認を正そうとする努力にも批判を述べ、抑え込もうとする動きさえあった。

 

 外務省OB岡本行夫氏の言動なども、自分の無為無策を棚に上げ、「抑え込もうとする動き」の一つであったろう。

http://island.iza.ne.jp/blog/entry/243334/

 

   

 

 古森氏の「序文」からもう一つ引いておく。

 

控えめに見ても、この種の反論(「南京大虐殺」に関して等)をすることは、たとえこちらの主張が当初は完全に認められなくても、外部の日本に対する根拠のない非難を阻止し、あるいは希薄にする効果はあるといえるだろう。誹謗を希薄にし、阻止したら次には論破を図ればよいのである。

 

 まったくその通りだと思う。当時『ワシントン・ポスト』に有志の連名で載せた意見広告など、使い方次第で、今後、「効果」が一層浸透していくはずだ。

http://island.iza.ne.jp/blog/entry/200595/

 

 同書の第4章に、2007215日、米下院外交委員会・アジア太平洋小委員会が開いた公聴会の模様が描かれている。

 証人は、慰安婦決議案を出したマイク・ホンダ議員をはじめ、元慰安婦や支援組織の代表、「『戦争責任』に関して現在の日本を攻撃し続ける民主党系女性活動家のミンディ・カトラー氏」ら5人だった。

 

いわゆる慰安婦問題で日本の立場を説明する証人も、中立の立場にある証人も含まれていない。みなホンダ陣営である。まったく不公正な証人構成だった。

 

ミンディ・カトラー(Mindy Kotler)には一度会ったことがある。ワシントンのナショナル・プレス・センターで拉致問題の記者会見を行った際、同行の女性と二人で会場に来ていた。

帰り際、ニヤニヤ笑いながら“So, you are famous Shimada.”と話しかけてきたので、よく知らずに、愛想よく(といっても私の「愛想よく」だから、無愛想に近いが)挨拶してしまった。

 

  

   ミンディ・カトラー(左)、右は「韓国国際交流財団」理事長

 

ミンディ・カトラーについて古森氏はこう書いている。

 

もう一人の証人のカトラー氏は、靖国問題などでも小泉元首相、安倍首相を「右翼の軍国主義者」と誹謗し続けてきた反日活動家である。日本語はできず、日本の歴史も政治も勉強をした形跡がないのに、日本の内情を左翼の立場からあれこれ尊大に断ずる超リベラルである。

 

 カトラー氏の公聴会証言(提出文書)を読みたい人があれば、下記で読める。

http://foreignaffairs.house.gov/110/kot021507.htm

日本軍による慰安婦の「強制連行・性奴隷化」を前提に、「驚くべきことに、過去数ヶ月間に、日本で最大部数の新聞(読売新聞)が、慰安婦システムを『歴史の歪曲』と呼び、安倍首相の主立ったアドバイザーたちが河野談話を修正ないし撤回すべきだとの意見を公にしている」などと述べ、日本の保守派を非難している。

 

この公聴会が行われる少し前、安倍首相、下村博文官房副長官を囲む夕食懇談会があり、私も出席した。

その場で、上記公聴会証人の偏りが問題となり、ワシントンの日本大使館はなぜ一人ぐらい「こちら側の証人」を入れることが出来ないのかという疑問が出された。

その場に西岡力氏がいたので、あんたが飛べという話になり、本人も証言できるなら訪米してもよいとの意向を示したため、下村副長官が早々に外務省の担当者を呼ぶことになったが、結局実現しなかった。

 なお、『週刊現代』がこの日の懇談会を取り上げ、「家族会は自分が抑え込むから、北朝鮮との拉致交渉に自分を派遣してくれ」と西岡が安倍に懇願したなどと、わけの分からない記事を書いたが、事実無根も甚だしい。

 西岡派遣の話が出たのは、あくまで、慰安婦問題に関してワシントンに、という文脈である。

 

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2008/09/22 21:44

果たしえた約束。慰安婦決議意見広告批判への批判。  [酔夢ing Voice - 西村幸祐 -]

 

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