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【国際】

16歳から天才ハッカー アサンジ氏

2010年12月5日 朝刊

 【ロンドン=松井学】米国の外交公電を公開し、各国政府に激震を走らせたウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ氏(39)はインターネット時代の寵児(ちょうじ)なのか、それとも災いを引き起こす魔神なのか。政府や大企業を標的にするウィキリークスの活動は、同氏の生い立ちや個性抜きには語れない。

 「どうぞ訴えてください。どんな法律に違反したというのか」

 イラクに関する米軍機密文書を暴露した直後の今年七月末、アサンジ氏はロンドン市内での記者会見で米国で裁判にかけられる可能性を否定してみせた。「政府の透明性が高まれば腐敗も減る」と主張。管理や権威を嫌うハッカー文化にも触れ「もし何も公開しないか、すべてを公開するかを迫られたら、今後もすべてを公開する」と語った。

 米誌ニューヨーカーなどによると、アサンジ氏は一九七一年、オーストラリアで生まれた。一歳の時に母親は地方巡りの劇団代表と結婚、十四歳までに三十七回引っ越しを経験した。母親は「学校教育は権力への不健全な敬意を子どもに植え付ける」として義務教育を拒んだ。

 十六歳の時にコンピューターと通信機器を買ってもらい暗号を解読して米国防総省などのコンピューターシステムへの侵入を繰り返した。有能なハッカーとして仲間内で知られたが、二十歳の時にカナダの通信会社のシステムに侵入した疑いで逮捕、有罪になり少額の損害賠償を命じられた。

 米誌はアサンジ氏が作家カフカ、ソルジェニーツィンらの影響を受けたと指摘し、「人間の戦いは左派右派の立場や理論対信条ではなく個人対公的機関だ」と同氏が考えていると紹介している。

 

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