【社説】火遊びできぬよう北の弱みをつかむべき

 韓国軍は6日から1週間の予定で、全国の海上29カ所で射撃訓練を開始した。訓練が開始される数日前から北朝鮮は、「傀儡(かいらい)の挑発行為により、朝鮮半島は統制不能の極限状況に陥った。全面戦争が起これば朝鮮半島だけでなく、地域の安全にも重大な影響が及ぶだろう」などと脅迫を続けている。金正日(キム・ジョンイル)総書記とその私兵集団である軍部は、あたかも韓国に対する脅迫を楽しんでいるかのようだ。

 北朝鮮に火遊びをさせないためには、まずこちらは常に、金総書記が最も恐れる急所を攻撃できる態勢にあることを示さなければならない。北朝鮮が最も恐れているのは、自分たちが行った挑発行為に対して数倍の報復ができるこちらの軍事力と、それを行使できる断固とした精神武装だ。

 休戦協定が締結されて以降、北朝鮮は軍事攻勢や対話攻勢など、さまざまな挑発行為を行ってきたが、その目標は常に在韓米軍の撤収だった。故・金日成(キム・イルソン)主席は生前、「米軍が6・25戦争(朝鮮戦争)に参戦さえしなければ、統一はそのときに達成されていた」と繰り返していたという。また、北朝鮮では各地の主要施設が地下に隠されているのも、6・25戦争当時、金日成主席が米軍による空襲を受けながら九死に一生を得た経験があり、またそれによる被害意識を持っていたからだ。韓国に存在する親北(北朝鮮を支持する)・従北(北朝鮮に従う)勢力が常に米軍撤退を主張するのも、このような背景を考慮すれば理解が可能だ。そのため北朝鮮が挑発行為を繰り返せば、その意図に反して在韓米軍をこの地に止まらせ、あるいは戦力を増強させる結果をもたらすことを、彼らに知らしめなければならない。

 「攻撃こそ最大の防御」という言葉がある。韓国の後方に浸透し、かく乱しようとする北朝鮮の特殊部隊を阻止するには、その数倍の兵力が必要となるが、その術中にはまってばかりはいられない。われわれも、北朝鮮の後方をかく乱できる特殊部隊を大幅に強化すれば、北朝鮮が持つ攻撃力を分散させることができるはずだ。

 国民を外部の情報から徹底して遮断、孤立させ、洗脳するという方法で統治する独裁政権は、外からの情報の流入、とりわけ独裁政権内部の不道徳な側面を告発する情報を恐れる。こちらが拡声器による放送を再開すれば、北朝鮮がこれを破壊すると予告するのも、このような理由があるからだ。拡声器はビラと同様の効果を発揮する。北朝鮮が挑発行為を繰り返せば、これまで中断していたこれらの心理作戦が、自動的に再開されるようにしておくことも必要だろう。

 北朝鮮が今のように必死であがくように見せかけているのは、「人間は気が狂えば何でもやる」と思わせ、相手に恐怖心を抱かせる「狂人効果」を狙ったものだ。この狙いを封じ込めるには、こちらも相当の犠牲を甘受する覚悟ができていることを示す必要がある。いずれにしても、口だけでは何も解決しない。「死なんとするものは生きる」という「必死則生」という言葉を、今こそかみ締めなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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