以前、あるTwitterユーザーの発言が話題になりました。
サラ金(消費者金融)→パチスロ→法律事務所→ソーシャルゲームとTVCMに出稿する広告クライアントの主流は21世紀以降移り変わってきたけども、業態は違えど“これらのビジネスターゲット”が全く変わっていないことに注目すべき (via @igi)
これをみて「貧困ビジネス」という言葉が頭に浮かびました。これは湯浅誠さんによる造語で「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」という意で使ったそうですが、
貧困ビジネス (門倉貴史)のように「
貧困層をメインターゲットにして、短期的な利益を追求するビジネス全般(P14)」ともう少し広義に解釈する人もいます。一般的には社会的弱者から利益を得るビジネス全般という意で使われているケースが多いようですが、個人的には「情弱(情報弱者)」も含めてもっと大きな意味合いで語られていい気がします。
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日本経済新聞2010/11/12より
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今年9月のグリー「GREE」とディー・エヌ・エー(DeNA)の「モバゲータウン」の関東地区でのCM放映回数は合計で4150回にもなり、広告出稿数の一位、二位を独占しています(日本経済新聞2010/11/12)。CMでは「無料」を強調しているにも係わらず多額の課金収入を消費者の懐から得ています。
紹介したTwitterの発言にある「ビジネスターゲット」とはどの層であるかを考えたとき、パチンコもソーシャルゲームも人間の「
射幸心を煽る」というところでは共通しているというところにヒントがあるように思います。つまり、両者に共通するのは、各種広告やキャンペーンで人を誘引し、のめり込ませていつの間にか判断能力を麻痺させて金を巻き上げるシステムを備えているということです。ターゲットは広く万人に開かれていますが、実際問題として時間を持て余している人々がメインターゲットになっているであろうことは想像できます。これを「貧困ビジネス」だとか「下流喰い」だと批判するつもりは毛頭ありません。人間の「
射幸心を煽る」というのは、程度の差はあってもビジネスで広く行われていることですから。消費者としては、逆にそれを利用してメリットを享受する側に回ればいいだけのことですが、言い換えると、金を巻き上げられる「カモ」の存在を必要としている「賢い消費者」は無数にいるということ。残念ながら、「カモ」の存在を必要とするのは企業だけではないのです。
具体的にいうと「証券会社」なんてまさにそうでしょう。証券会社の収益は、一般顧客からの株、投資信託、債券等の委託手数料収入が大半を占めていることは公表されている決算をみればわかります。委託手数料は1999年に完全自由化されて以来、激しい競争の果てに随分安くなりましたが、インターネットと携帯電話の普及に伴って現れた売買頻度が高いデイトレーダーや短期売買投資家によってネット証券会社は収益を拡大させることができたのです。マネー誌やテレビ番組、そして新聞までもが「一山当てた」ごく一部のラッキーな投資家を取り上げたり、リスクにあまり触れずに利回りの高さをことさら強調して「
射幸心を煽る」ことで新たな「カモ」を誘引します。一般的に、プロが渦巻く投資の世界において、短期売買で利益を得ることは至難の業であることに加え貴重な時間までも奪われていきます。また、投資自体が手軽に可能になった上にゲーム的中毒性があるため、多額のお金を投入したにも係わらず判断能力が麻痺し、のめり込んで逝ってしまう人が後を絶ちません。そのため、一部の賢い消費者は短期売買をあまり行わず、手数料が格安の商品(インデックスファンド、ETF等)をコツコツと買い増していき、売らずに長期で持っています。手数料を落とさないため、証券会社にとっては質の悪い客です。証券会社がボランティアのような格安手数料で優れた商品を提供できるのも、莫大な手数料を払ってくれるカモがいてこそ。これが実情です。
だから賢い消費者はいつも心のなかで唱えていることでしょう。
「カモ」に対して。