Jリーグ初優勝を成し遂げた名古屋グランパスは5日、「ファン・サポーター優勝報告会」(中日新聞社共催)を名古屋市中区の久屋大通公園で行い、約4500人(主催者発表)のファンが詰め掛けて祝福した。河村たかし市長(62)から花束を贈られた主将のGK楢崎正剛(34)は「長い間待たせてゴメン」とあいさつし、リーグ18年目でつかんだ初戴冠の喜びを分かち合った。
晴れやかなひのき舞台だった。雲一つない青空の下、主将の楢崎がマイクの前に立った。「長い間、待たせてゴメン」。マギヌンが好きなkiroroの名曲「長い間」からヒントを得たあいさつに、会場を真っ赤に染めたサポーターが沸き返った。
「チーム、サポーター、みんなの勝利。ありがとうございました。みなさんの喜んでいる姿を見てうれしい」
グランパスに関わるすべての人たちが、18年間首を長くして待っていた。徹夜組は10人以上に及び、待機列の一番乗りは前日4日の午後8時頃からスタンバイしていたほどだ。グランパスが発表した入場者数は約4500人だったが、会場から人があふれ、沿道を含めて約6000人がチームを祝福。サポーターから息のあった掛け声も飛び、会場はまるで試合前のスタジアムのようなムードに包まれた。
ストイコビッチ監督が体調不良で急きょ欠席するアクシデントはあったが、ここでも楢崎がきっちりフォローした。「我々ハ、優勝シマシタ」とV決定後から指揮官が口にしている片言の日本語をまねして“代打”を務め、「スピーチはもういいです」と苦笑いしたが、場を盛り上げるのに一役買った。
前日4日の最終節・広島戦後のセレモニーでも、「毎年しょうもないあいさつをしていましたが、今年は違います。優勝しちゃいました!」とはじけた楢崎。一夜明けて、改めて優勝の感激をかみしめた。
ケガで帰国したブルザノビッチを除く全29選手が勢ぞろいした。OBの小倉隆史氏もかけつけた。最後はサポーターが声をそろえての盛大な「名古屋グランパス」コールが名古屋一の繁華街・栄中に響き渡った。
楢崎が「これからもみんなで喜べるチームであるために、よろしくお願いします」と締めくくると、ひときわ大きな拍手がわき起こった。Jリーグ開幕から18年で初めて味わう優勝の歓喜。長く待たされた分、喜びもまた大きい。
闘莉王も玉田も、ピッチ上とはまた違った晴れやかな笑顔を浮かべていた。「パレードじゃなかったね」の声に「それは、また来年」と闘莉王が応えた。勝者だからこそ味わえる至福の1時間。これが今季2冠の懸かった天皇杯へ、さらにJリーグ連覇へ、何よりのエネルギーとなるはずだ。 (塚田陽一郎)
◆ピクシー監督欠席
ストイコビッチ監督は体調不良のため、5日の優勝報告会の参加を見合わせた。多くのファンのお目当てでもあっただけに、欠席がアナウンスされると会場からは「え〜」とため息が漏れた。6日に都内で行われる官公庁のスポーツ観光マイスター任命式と、Jリーグアウォーズには今のところ出席する見込み。
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