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年賀状販売で「圧力」、非正規社員に

2010年12月03日

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郵便事業会社横浜支店。郵便局会社横浜中央郵便局と同じ建物を使用している=横浜市西区

 県内最大規模の集荷量がある郵便事業会社横浜支店(横浜市西区)で、男性正社員がパートなどの非正規社員に対し「年賀状を販売しないと時給にひびく」などと迫っていたことが、関係者の話で分かった。非正規社員の1人は、朝日新聞の取材に「圧迫と感じた。販売するあてはなかったが、自腹で購入した」と話している。

(木村尚貴)

 郵便事業会社広報室は「ミーティングなどで販売しないと時給にひびくという発言があった」と認め、「不安を招くような言い回しだった。個々の商品をたてに、時給など業務上の評価をすることは慎むよう指導する」と説明した。

 郵政民営化に伴い、郵便局は、窓口業務をする郵便局会社と、郵便物の配送・集荷などを行う郵便事業会社に分かれた。

 取材に応じた横浜支店の非正規社員は、年賀状の窓口販売が始まった11月前、上司にあたる正社員に呼ばれ「営業に協力するように」と求められた。その際にも「販売しないと時給にひびく」などと言われたという。この非正規社員は、年賀状の営業担当ではなく、自分で販売するあてもなかったため購入を控えていた。ところが、「まだ全然売ってないじゃないか」などと正社員に言われ、仕方なく1千枚以上を自腹で購入したという。

 採用時に年賀状販売についての説明はなかったといい、「年賀状を買わされると分かって辞めた人も周りにいる。自分はさばききれずに持っているが、同僚には自分で買った年賀状を金券ショップに持って行った人もいる」と話した。

 郵便事業会社によると、正規、非正規を問わず、年賀状の「積極的な販売勧奨」は全社的に行われているという。集配や営業担当の社員は、客と接した際に年賀状の予約販売を受け付けるが、取材に応じた非正規社員のように、そうした機会がなく、郵便物の仕分けなどの作業をする社員には、近親者や知人に販売することを前提に自腹での立て替え払いを認めている。

 実際の需要がないのに、社員が自腹で購入することについて、郵便事業会社側は「そういう事例があるのは事実。ひとつひとつ改めていくしかない」としている。年賀状は毎年約35億枚前後の販売があるといい、事業会社の年間収入全体の約1割を占めるとされる。

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