上から呼んでも下から呼んでも同じ名前のヨヨです、そんな私にはビュウという素敵な恋人が居ます。この国カーナの戦竜隊隊長なんですよ、凄いですねー。
この世界オレルスは空に浮かぶ小島ラグーンが連なって国となっています、カーナはその国の一つ。最近はグランベロス帝国が幅を利かせてるそうですが、まぁ今のところ平和そのもの。
さてカーナの王女である私とビュウ、結ばれるには二人の障害がありました。その一人マテライトは忠臣なんですが、ヨヨ様ーっ!っていつも私の傍に駆け付けてくれるほど。ストーカーじゃないかなー、特にビュウと逢う時には必ず傍にきてクドクド説教。ビュウに。
マテライトうざい、そう言ったらすんごい目をして泣きながら去っていった。私わるくない。
もう一人はセンダック、何故かビュウに夢中のお爺さん。ホモなの?って思うくらい夢中、忠臣なんだけどマテライトと同じくうざい。というか私のビュウに近づくな、サラマンダー!焼いちゃって!ビュウが必死に私を止めようとしたけど、ビュウのためなんだよ?結局止められた、ジジイいつか消してやる。ビュウは私が守るんだから!
サラマンダーというのはビュウの持ち竜でパートナーのような関係だ、私が羨ましがる位いつも一緒に居る。時折、私にチラッチラッ向けてくる視線はビュウは私のパートナーよ!って勝ち誇っているように見える。そんな風に思える私は末期かもしれない、だけど所詮は竜。人と決して結ばれないのよ!物理的に!
そんな私とサラマンダーでも仲が良いんだから、世の中分からない。
これは私とビュウが愛を紡ぐ話、そのための布石は打った。まずカーナにある思い出の教会、そこに入った二人は必ず結ばれるという伝説がある。当然私はビュウと一緒に入り愛を誓った、ビュウは最初戸惑ってたけど私が想いを真摯に告げたら応えてくれた。サラマンダーがキュイキュイ!って鳴いてビュウと私を引き離そうとする場面もあったけど、恋する乙女は強いのよ!
私とサラマンダーに引っ張られるビュウは引きつった顔をしてたけどね、うん些細な問題だ。
後は私とビュウが大人になって結婚すれば幸せ、そんな風に思っていた10歳の時。
現在、グランベロス帝国が襲撃してきて大ピンチです。何でも私の力を求めて襲ってきたんだとか、サウザー皇帝死ね。そう呟いた私わるくない、ビュウとの幸せな未来まで後少しだったのに。
敵国の将軍が私をさらおうとしてきたので、隠しもっていた鉄パイプで彼の頭を不意打ちアタック。崩れる将軍の屍を乗り越えて、私は愛しい人の元へ走りだす。
「ビュウーっ!何処に居るのーっ!」
背後で「パルパレオスーっ!?」ってサウザーの叫びがしたけど無視、まさかこのドサクサに紛れてサラマンダーがビュウをさらい逃げたんじゃ……いやいや、それはない。ないと思う。
そんな嫌な予感を振り払うように私は足を速めるのだった。