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[24717] 【習作】ストライクウィッチーズ 灰色の亡霊(オリ主)
Name: F-23C◆d34b2c87 ID:03614015
Date: 2010/12/05 02:48
趣旨的な何かと注意書き
スト魔女世界の現代(架空)から過去(アニメぐらい)まで遡ってオリ主が割と真面目に戦っていくよとかそう言うの。
現代は適当に仮定しているので実際のスト魔女世界の2000年代とは違うかもしれないけど知らない(というかそういう設定ってあるんでしょうか)。
世界地図は小説版準拠で想定。大陸にボコボコ穴が開いてる方。多分ぎりぎりアフガン(作中設定パシュトゥニスタン)はあるはず……

オリ主はほぼ架空ですが、モデルが居ないわけではないです。
オリ主以外には三人ほどオリジナルウィッチが出る予定。

履歴
2010.12.05 - リベリオン編 第一話投稿
2010.12.04 - プロローグ修正
2010.12.04 - プロローグ投稿



[24717] SW:GG プロローグ
Name: F-23C◆d34b2c87 ID:03614015
Date: 2010/12/04 05:00
2010.01.14
パシュトゥニスタン上空

 二人のウィッチが大空を駆ける。一人はリベリオン空軍のサブデュードのスターマークを、もう一人は扶桑の同じくロービジ化された太陽と月の国籍マークをストライカーに記している。よく見てみると、ストライカーユニット自体似たような形状だが細部が異なっている。
 着ている軍服も、片やディジタルカモフラージュパターンで覆われ、片や斑点パターンが使用されている。カラーリングも、リベリオンウィッチの方は典型的な灰色中心の制空迷彩だが、扶桑ウィッチは蒼色の海上迷彩となっている。
 唯一の共通点といえば、左袖に縫い付けられたISAF、国際治安支援部隊のマークと、その下の剣と盾の部隊マークぐらいだった。
「定期哨戒も楽になったもんですねー」
「あぁ、全くだ」
 二ヶ月前の国際治安支援部隊による反攻作戦の結果、ネウロイの巣の一つが消滅した。それは、ネウロイの過酷な侵略が一時ストップし、このパシュトゥニスタンに一時の平和が訪れたということに他ならなかった。そして、それはこれまで激戦に次ぐ激戦を駆け抜けてきた彼女たち航空ウィッチにとっては福音と言っても過言ではなかった。
「そろそろ折り返しだ。気を抜くなよ」
「はい」
 しかし、青空の下の幸福は、長くは続かなかった。
「方位3-3-0、距離200、小型ネウロイ反応三機です」
 扶桑ウィッチが得意の広域哨戒魔法の網にかかった敵性反応を告げる。
「進路は?」
「方位0-3-0。ネウロイ占領領域内の定期哨戒だと思いますけど」
 どうします? と扶桑ウィッチがリベリオンウィッチへと問いかける。
「放置する」
「了解」
 やや不満そうな顔でリベリオンウィッチの決断を受けた扶桑ウィッチに声をかけようとリベリオンウィッチが口を開いたその時だった。
「高速ネウロイ出現。早いです。速度3000以上。方位3-3-0、針路1-2-0。向かってきていますっ」
「撃墜する。射撃開始、LOAL」
「了解」
「フォックススリー、フォックススリー」
「フォックスワン、フォックスワン」
 その掛け声と共に、ストライカーから展開された魔力ランチャーから魔力誘導弾が踊り出る。計12発の現代魔術と科学の結晶は空を切り裂きながら定められた目標に対して向かっていく。
 射撃直前から彼女たちは進路をネウロイへと向け、ヘッドオンの体勢に入った。
「ダメです。止まりませんっ」
 それは着弾を認めた扶桑ウィッチの叫び声にも似た悲鳴だった。
 一撃必殺。それだけの威力を誇るAMMRAAMと、扶桑のAAMM-4を全身に受けてなお、ネウロイは進むことを止めなかった。
「弾幕を張って。シタデル。コード416、エマージェンシー、エマージェンシー」
 上昇後退しながらリベリオンウィッチが手持ちのOICW搭載イコライザー・ガトリングガンの連射を始める。それにつられて扶桑ウィッチもまた、その手持ちのAICW搭載マウザーBK27を精密射する。
 無数の曳光弾と、それに何倍とする魔力を帯びた徹甲焼夷弾が文字通り鉄のカーテンを生み出し、ネウロイの体を引き裂いていく。
『こちらシタデル。5分持ちこたえろ。VFA-27が支援攻撃に入る』
 AWACSが最寄りの部隊の救援を知らせる。VFA-27。航空母艦ジョージ・ワシントンに乗る戦闘攻撃飛行隊の救援を、彼は知らせていた。しかし、それは絶望的な長さの時間でもあった。
「橘。全速後退して時間を稼ごう」
「はい」
 OICWからサイドワインダー魔力誘導弾を放ち、牽制しながら体勢を変えて全速力で後退する。橘と呼ばれた扶桑ウィッチもまた、AICWからAAMM-5を放って後退する。共に現代最高の性能を誇る短射程魔力誘導弾だが、外装甲を幾分か剥がすに留まった。
 弾幕射撃を継続しながら、時折魔力誘導弾を放ち、逃げ続ける。最後の手段たるリヒーターも開放して最高速度のマッハ2.6で空を駆ける。
 だが、ソレはすべての抵抗を嘲り笑うかのように、無数の弾幕と魔力誘導弾に外装をボロボロにされ、体内に切り込んだ魔力強化の徹甲焼夷弾に身を焼かれながらも、超高速で空を裂き続けることを止めなかった。
 リベリオンウィッチが距離制限をオーバーロードし、最後と覚悟してサイドワインダーを放った。もうそれほどまでに近かった。
 最初は牽制のはずだった25mmの弾幕も、今ではそのほとんどが命中弾となっている。
「くっ。自爆するつもりか」
 それが、戦域に展開していたAWACS、シタデルが観測した最後の通信となった。
 その直後、重低音が空域を席巻し、激しい閃光と共にネウロイと、二人のウィッチの反応はレーダー上から掻き消えることとなった。
 数分してたどり着いたVFA-27が付近の空域を制空し、さらに戦闘捜索救難部隊が遅れてたどり着いたが、彼らの懸命の捜索を以てしても、ウィッチ二人の遺体はおろか、ストライカーユニットの破片すらも探し出すことはできなかった。

 2010年2月15日、国際治安支援部隊は1月14日の哨戒任務中にMIAとなった二人のウィッチの捜索続行を断念し、事実上のKIAを与えた。両名はそれぞれの母国空軍から二階級特進の上、国家と人類への献身を讃えられた。



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「橘ァーっ」
 高速ネウロイの発した強力無比な閃光で眩んだ視界の中で、私は叫んだ。僚機を呼び寄せるために、なんとかはぐれない為に、そして、彼女の持つ広域探知の固有魔法の補助を受けるために。
 だが、待てども待てども彼女からの返答はない。誰かが近寄ってくる感覚もない。
 しかし、その不安は視界が戻ってくるとともにやってきた別の衝撃によってキレイサッパリ吹き飛ぶことになった。
「わっ」
 突然目の前に現れた障害物を避けるべく、急上昇する。
 最初、彼女はそれは何かの山だと思った。それは仕方ないことだと思う。パシュトゥニスタンでは飛行を邪魔する人工構造物なんてものはありはしない。なら山肌に激突が最もありうる選択肢だった。
 しかし、視界が徐々にクリアになり、落ち着きを取り戻してくると私は気づいてしまった。
「インペリアルステートビル」
 リベリオン合衆国は経済の中心地、インペリアル州マンハッタン島の中央にそびえ立つ超高層ビル。それは、先程までいたパシュトゥニスタンでは絶対にお目にかかれないはずの建物であり、同時に中東全域でも全く持って同じ結論を出さざるを得なかっただろうシロモノだった。
「なんでこんな場所に」
 ふと視線をさらに下に持って行く。車が走っているが車種が古い。フォードT型みたいな古臭い車ばかりで最新の扶桑車なんてものは影も形もない。
 はっ、と視線を南に向けると、見慣れた高層ビル群は無かった。
「ここは……」
 マンハッタンがまた攻撃を受けたのか? それにしては人々は安寧に過ごしている。どういう事だ? 幻覚? 幻視?
 幾多の可能性と選択肢を思いつく。
「原隊を見てこよう」
 結論は、結論を先延ばしにするという安易な選択。
 針路を南西に向けて出力を上げていく。音速を出さないように速度を絞りつつ、しかしできるだけ早く。一路目指す。ラングレー空軍基地を。



????.??.??
リベリオン合衆国 ラングレー空軍基地上空
 コンクリート舗装された3000メートル級の長大な滑走路を誇り、最新鋭のF-22A戦闘機、F-23ALストライカーユニット装備のリベリオン合衆国最精鋭部隊、第1戦闘航空団の駐留するはずのその場には、しかし、目当ての部隊など無かった。
 あるのはレシプロのP-51戦闘機と同じくレシプロストライカーを履くウィッチの集団。そして、かろうじて舗装された1000メートル程度の滑走路だった。ウィッチたちはこちらに気付いたのか、銃を構えて緊急発進体制に入ったようだった。
「くっ……」
 認識せざるを得なかった。ここが、彼女の知る世界ではないことを。ここが、彼女の知る現代ではないということを。
 緊急発進してきたウィッチ部隊がこちらに銃口を向け、なにか話しかけてくる。
 逃げることもできた。第五世代ジェットストライカーたるF-23ALグレイゴーストがP-51ごときに追いつかれるはずがない。それは確信だったし、カタログを開くまでもない圧倒的な事実だった。
 だが、逃げてどうする? この誰も頼るべき人の居ない世界で、彼女は一体誰を頼れば良いと言うんだろう。ふと考えてみる。リベリオン以外の選択肢を。自由を身の上とするこの国以外に、こんな規格外の現象を許容する国があるだろうか? カールスラントならしそうだ。だが、わざわざ仮想敵国に手を貸すことなんて彼女にはできなかった。軍人としての教育が彼女を縛る。そう、最初から迷う理由なんて無かった。リベリオン以外のどの国に奉仕しろっていうんだ。そう内心で吐き捨てる。
 彼女は静かに両手を上げ、降伏の意を示した。
「こちらはリベリオン空軍、第1戦闘航空団第27戦闘飛行隊所属、認識番号19003-42-4018、官姓名ミーシャ・R・サンドバーグ、階級大尉。着陸誘導を願う」

ストライクウィッチーズ 灰色の亡霊
プロローグ

to be continued



YF-23は正義!



[24717] SW:GG リベリオン編 第一話
Name: F-23C◆d34b2c87 ID:03614015
Date: 2010/12/05 03:00
1943.02.25
リベリオン合衆国 ミューロック飛行場

 甲高い音と共に聴きなれた轟音が聴覚を支配する。同時にミーシャのなめらかな金髪を風が舞い上げる。
 思う存分魔力風を味わってから、彼女は目を開いた。純紫の瞳が顕になり、いよいよ音が強くなっていく。
「魔導エンジン始動完了。タキシング許可を」
『ゴースト01、タキシングを許可する』
 管制塔からの許可と共に彼女は広大なエプロンから急遽拡張されたという長大な滑走路に向かう。
 彼女がストライカーを履くのは久しぶりだった。
 あの日、ラングレーの地に着陸してから、彼女は戦略事務局と連邦捜査局に捕らえられ、連行された。ウィッチであることが明らかであるため、過激な取締こそ行われなかったものの、彼女は闇に囚われ、永遠に外に出れないことを覚悟した。
 あの時までは。



ストライクウィッチーズ 灰色の亡霊
リベリオン編 第一話 新しい居場所



1943.01.21
ディストリクト某所

「ありがとうございました」
「いや、こちらこそ戦略事務局の無謀な尋問のもとに長くおいてしまって済まなかった」
 あれから一週間が経っていた。
 着陸した彼女を待っていたのは、連邦捜査局と戦略事務局による苛烈な取り調べだった。階級詐称などを含む複数の罪状と、何よりも彼女の出身、経歴に対する徹底的な尋問が繰り広げられた。それは、文字通り、闇に囚われたかのような感覚だった。薄暗い監獄で、外に出ることすらも許されない、闇。
 そこから救い出したのが目の前に座る政治家、ミスター・リパブリカンことロバート・タフトその人だった。
「それに、君に用があるのは私ではない。いや、私も政治家として君の存在には興味をそそられるが、それ以上に支援者達が熱心でね」
「支援者ですか?」
「あぁ、ロックウィードとノースリベリオンだ」
 軍需産業か。アイゼンハウアー大統領の言っていた軍産複合体もあながち間違っては居ないのかもしれないな、と思いつつ、同時に、テストパイロットでも頼まれるんだろうか、と見当をつける。
「両社の技師が君の履いていたストライカーに興味を示して、まぁ、協力してほしいと。出来るかね?」
 答えを迷うはずがなかった。
「喜んで協力させていただきます」
 私は生まれた時から、そして、死のその時まで、リベリアンだ。そう、彼女の心は叫んでいた。
「だ、そうだよ。アーノルド大将」
「喜ばしいことだ。協力に感謝するよ、大尉」
「はっ、大尉、ですか」
「そうだ。合衆国陸軍航空軍は、貴官、ミーシャ・R・サンドバーグ大尉の軍籍及び認識番号、社会保障番号を承認し、同時にミューロック飛行場に新しく第1試験戦闘航空団第27試験飛行隊の設立を認め、ミーシャ・R・サンドバーグ大尉を同隊隊長として配属とする」
「了解いたしました。配属命令、拝命いたします」
「うむ。貴官のリベリオン合衆国への献身を期待している」


1943.01.21
ディストリクト 陸軍省 陸軍航空軍司令官執務室

「政治家の御託に付きあわせて済まなかったな」
「いえ。身元を保証していただくのに上院議員以上に頼れるものはありません」
「確かにそうだな。まぁ、良いだろう。第27試験飛行隊だが、西海岸のミューロック航空基地に設置されることになる」
「ミューロック……えーと、新兵器開発の中心部ですか」
「そうだ。そこにウィッチ定員三名の小規模な部隊となるが、設立することになる。基本任務は新型の噴流式ストライカーの開発支援であり、航空産業の技師たちと協力して新型ストライカーの開発に当たることになる。良いな?」
「はっ」
「配属となるウィッチだが、第47追撃航空隊からシルヴィア・ウェルチ少尉を、第78戦闘航空隊からアイリス・ボング少尉をそれぞれ配属とする予定だ。本来なら、第363戦闘飛行隊のシャーロット・イェーガー少尉がよかったんだが……既に第八航空軍……欧州の方に派遣になっていてな……」
 アイリス・ボング少尉。実力はありながら配属が太平洋方面だったがために実戦経験を得ずに終戦を迎えてしまった不幸なパイロットか。ただ、模擬戦での才能は評価されてP-80のテストパイロットに抜擢されていたはずだった。シルヴィア・ウェルチ少尉も同じような経緯。彼女はF-86のテストパイロットを務めていた。そして最後に出てきたシャーロット・イェーガーは最終階級少将。欧州戦線のエクスペルテン、第501統合戦闘航空団のメンバーとして、そして、何よりも人類史上初めて音速を突破した人物としても有名(加えるなら同性結婚でも)。そう彼女は未来の知識を思い起こした。
「第27の当面の任務はP-80の開発支援だ。最終的には実戦試験にまで持って行ってもらう」
「了解しました」
「以上だ。ウェルチ少尉が242会議室で待機しているはずだ。後は彼女から聞きたまえ」


ディストリクト 陸軍省 242会議室

 ミーシャの入室を、ウェルチ少尉は敬礼をもって迎えた。
 ワインレッドのショートカットと、意志の強そうな濃い群青色の、空を突き刺し超えていくかのような瞳がミーシャを突き刺す。
「休め。ソコまで固くならなくて良いから。シルヴィア・ウェルチ少尉だな?」
「はい」
「私がミーシャ・R・サンドバーグ大尉だ。私についての詳細は……」
「聞いています。というより、見てきました」
「あ、もう見ているのか」
「はい。まさに現実のものとは思えないとしか表現できないユニットでした。なんというか……空をとぶとは思えない、としか。一緒に見学しました技師の方も到底空を飛べるとは思えないと何度も言っていましたし」
 まぁ、そうだろうね、とミーシャも頷く。あの正方形に近い翼で空を飛べるとは、誰も思うはずがない。何度も飛ばしている彼女自身、どうしてそれが飛べているのかよくわかっていなかった。しかし、全てが異質に見えるそれも、F-23ALの高性能の一要因であると思えば、不思議と納得が行った。
「一度一緒に空を飛んでみたいです」
「ミューロックに着いてからね。もしかしたらあなたにも乗ってもらうかもしれないけど」
「え? 私がですか?」
「うん。P-80の開発に役立つかも知れないから」
 完成された噴流式ストライカーユニットを知っておくことは一つの手がかりになるんじゃないか、とミーシャは伝える。どの程度役に立つかは不明だが、何かの違いは判るはずだとシルヴィアに言った。
 シルヴィアはひと通り頷いた後、不思議そうな表情を浮かべた。
「大尉は、いわゆるタイムパラドックスを恐れないのですか。自分自身の行動が、未来を変えてしまうことを」
「……さぁ。判らない。でも、歴史を変えるというのは、時としてものすごく甘美な誘惑となるんじゃないかな。愛する祖国をより発展させることが出来るというのなら、私は魔王にだって魂を売り払っても良いと思うし、悪魔にだって身体を捧げても良いと思う。そして、それが軍人として、ううん、愛国者として正しい立ち位置じゃないかな」


1943.02.25
リベリオン合衆国 ミューロック飛行場
『ゴースト01。離陸を許可する』
 展示飛行のようなものだ。そう彼女は言い聞かせる。
 出力を一気に最大に押し上げ、更にリヒーターを作動させる。
 猛烈なGによって押しつぶされそうになりながら、彼女の身体は、加速し続ける。
 最早聴覚は轟音という言葉さえ生温い爆音のもとに奪われる。
 視界が滑走路の切れ目を捉えるまでもなく、彼女は大きく上昇した。更に続けてハイレートクライムに入り、圧倒的な性能差を見せつける。上昇途中で音速を突破。その炸裂にも似た音は、周辺一帯で観測された。
 更に十分な速度と高度を得て、基地上空をフライパス。背面飛行に入り、迎角リミッタを解除して急激なスプリットSを見せる。
「こちらゴースト01。どうですか?」
『ロックウィードのケリー・ジョンソンだ。素晴らしいとしか言い様がない。パーフェクトだ。まさに望む機動だよ』
『素晴らしいです。今のは機動性を最大の自慢とする扶桑のキ27でも無理ですよ』
「ボング少尉は声も出ない、といった感じかな」
『え……まぁ、そのとおりです』
 今度は低空で進入。急激に姿勢を上げて後方に一回転。更にもう一回転してみせる。このF-23AL以外ではオラーシャのMiG-29OVTのみが可能なダブルクルビットは、 まさに空前の驚愕を呼び起こしたらしい。無線機からは賞賛の叫び声が聞こえてきた。

 技術陣にもみくちゃにされ、さんざん質問を受けてから解放されてからようやくウィッチ三名で落ち着いて会話をする時間が出来たのは、着陸から既に2時間も経っていた。
 何処からか調達してきたお菓子と、シルヴィア少尉の淹れたコーヒーで休息を取る。
「素晴らしいです。それ以外の言葉が見当たりません」
「ああ。まさか、大尉はそれをP-80で?」
「まさか、それは求めないですよ。というか無理でしょ」
「不可能だろうね。開発陣には悪いけどパワーも何もかもが足りない」
 ボング少尉は長い前髪を払いながらそう呟いた。それは事実で、多分今後数十年にわたってこの機体の再現を拒む最大の理由になるだろうシロモノだった。
「そうなんですか?」
「P-80のエンジン出力は8000呪力級だったっけ?」
「はい、そうですけど」
「F-23ALは20万呪力級と言えばその差がどれぐらい絶望的か判る?」
「にじゅっ……それは、絶望的ですね……」
「ただ設計を改変するだけでは追いつけない、ということですね、大尉」
「そういうこと」

「大尉」
 ふとボング少尉が口を開いた。
「何?」
「いや、大尉が此処に来た理由はよく判らない」
「私も良く判っていない」
「うん。でも、それは必要なことだったんだと思う。だから、良く判らないけど、変に壁を作らないで欲しい」
「心配するな、少尉。私は、ここを自分の家と考えて、貴方達を家族と考えて、生きて行くつもりだ」

to be continued



VFAT 2010を見ながら。
VBIの皆さんGJ!です。

なんか口調が安定していないとかいろいろとアレなところが。というかボング少尉あんまり出せてないし、口調差ががが。
とりあえずリベリオン編は三~四話で駆け抜けたいので足早に行く予定。

ところでダブルクルビット出来るの? って話ですが、実機(YF-23)だと不明です。F-22では出来ないようですが。
あと、ミスター・リパブリカンことロバート・タフトが軍需産業と繋がっていたという事実は多分ないと思います。孤立主義者ですし。

>hiyougoさん。
ありがとうございます。感謝感激です。
スト魔女世界の現代兵器については、何れ適当な頃に見解を述べようかと思います(意訳:今から考え始める。F-23飛ばすことしか考えてなかったので)。


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