2010年12月6日11時27分
静岡県焼津市上空で2001年1月に起きた日本航空機のニアミス事故で、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は、無罪主張を退けた上告棄却決定に対し、管制官の蜂谷(はちたに)秀樹被告(36)と籾井(もみい)康子被告(41)が出していた異議申し立てを棄却する決定をした。3日付。業務上過失傷害罪で蜂谷被告は禁錮1年執行猶予3年、籾井被告は禁錮1年6カ月執行猶予3年の刑が確定し、国家公務員法により両被告は失職した。
ニアミス事故で管制官個人が起訴された初めてのケースだった。蜂谷被告は訓練中に誤指示を出したとされ、指導役の籾井被告とともに起訴されたが、いずれも無罪を主張。複雑・高度化した航空システムにおいて、個人の「うっかりミス」に刑事罰を科すべきかどうかも大きな議論になっていた。
06年3月の一審・東京地裁判決は管制官2人を無罪としたが、08年4月の二審・東京高裁で逆転有罪となり、2人が上告。10月26日付の上告棄却決定では、第一小法廷5人の裁判官のうち1人は無罪とする反対意見だったが、4人の多数意見は有罪と判断した。