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遺伝子組み換えされた魚が世界中の食卓に上る日は近い?

Science ニュー・サイエンティストUK

2010年12月05日(日)
クーリエ
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成長が早く病気に強い、遺伝子組み換え魚の開発が進んでいる。生産性は期待できるが、環境問題への影響が懸念される。

 米国企業が申請しているある魚の販売許可の行方を、世界の養殖業者が注目している。米国のアクアバウンティ・テクノロジーズ社(アクア社)が、タイセイヨウサケにマスノスケの遺伝子を移植することによって、通常の半分の期間で成魚となる遺伝子組み換え(GM)魚を開発した。

 現在、連邦食品医薬品局(FDA)が、販売許可を検討中だ。許可が下りれば、世界で初めて食用GM動物が販売されることになり、中国など世界各国で、GM魚の商品化が進められるだろう。

ニュー・サイエンティストUK

 FDAはGM魚を食用にした際の安全性については問題視していないが、GM魚が流出した際の環境への影響を理由に判断を先に延ばしている。

 アクア社は流出を防ぐために、養殖場を沿岸部に網を張る方法ではなく、陸の水槽に設置している。そして、卵の孵ふ化かや生育はパナマの近海で行っている。

 暖かい海でサケは生き残れないからだ。しかし、同社が利益を出すには受精卵を他社に売る必要がある。購入した業者が、安全な養殖場を設置するかどうかはわからない。

 天然魚にわずかなGM魚でも交雑してしまうと、魚の群れが死滅し得るという実験結果もある。アクア社はGM魚を不妊化しているが、その精度は100%ではない。

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