「国際社会で尊敬される国家」になれない日本
小沢氏の大訪中団や天皇陛下と中国国家副主席との「特例会見」に象徴されているように、中国に対しては最大限の配慮を尽くす。どうやら、米国との関係はぎりぎりまで険しくなっても最後の場面でリスク・マネジメントが働くが、日中間にはそういう機能が働かないという認識が強いようだ。
だが、対米認識がそこまで甘くていいのかどうか。インド洋からの海上自衛隊補給部隊の撤退は、「国際テロとの戦い」から日本だけが逃げ出した印象を与えている。ハイチの地震被害に対しても、日本の救援隊派遣はいかにも対応が遅い。
湾岸戦争で130億ドルを拠出しながら、クウエートが戦後に米紙に出した感謝広告には各国の国旗が並んでいる中に日の丸だけがなかった。国際社会で尊敬される国家となるための要件に思いが至らない。普天間基地問題は、あの当時の日本と基本的な体質になんら変化がないことを意味するものだ。
(目次や本文の一部がご覧になれます)