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時評コラム

花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」

迫り来る「ジャパン・ナッシング」の悪夢

日米同盟に亀裂、ほくそ笑んでいる国も

 普天間基地の移設先としては、沖縄県内の下地島、伊江島、嘉手納基地などがあげられ、県外では長崎・大村基地、静岡・キャンプ富士、関西空港なども候補とされる。社民党はグアム移転を求めている。いずれも、鳩山首相の腰が定まらないのを見て、ばたばたと出てきた案であって、このいずれかでまとまることはまずない。仮に代替候補が決まるとしても10年先の話になる。

 鳩山首相はなぜ普天間問題で出方を間違えたのか。「駐留なき安保」を主張したこともあるリベラルな政治スタンスのゆえか。日米中正三角形論、東アジア共同体論などとも考え合わせると、日米同盟が戦後の日本の外交・安保政策の基本的選択であったことへの真摯な認識に欠けたところがあるといわなくてはなるまい。

 日米中が二等辺三角形ならまだ分かる。正三角形というのは、日米同盟が厳然として存在するのだから、中国傾斜路線を取ることを意味する。米国の「核の傘」を安全保障の基軸中の基軸としてきた歴史と明らかに矛盾する。

 普天間移設問題でこれだけがたつくというのは、日米同盟の信頼感に決定的な傷をつけることになった。日米軍事同盟にヒビが入り、東アジア地域の軍事バランスに乱れが生じると、米国の世界戦略にも日本の防衛・安保体制にも多大な影響を及ぼす。このことによって、ほくそ笑んでいるのはどこの国であるか、そこに思いをはせるべきだろう。

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