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臨時国会:停滞、最後まで 野党、人事案採決を欠席

 第176臨時国会が3日、閉会した。衆参両院で与野党勢力が逆転する中、政策協議がどこまで進むかが注目されたが、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を巡る政府の対応のまずさなど菅政権の相次ぐ失策で、逆に与野党の対立が深まった。自民、公明両党は11年の通常国会でも、参院で問責決議が可決された仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相が出席する審議には応じない方針。「熟議の国会」の展望は開けず、政府・民主党内にも今後の国会運営に危機感が募っている。【中田卓二、横田愛】

 3日の衆院本会議で自民党は公明党、みんなの党とともに国交、法務両省所管の計4委員会に関する同意人事案の採決を欠席した。衆院議院運営委員会理事会で、自公両党は「これからも仙谷、馬淵両氏に関してはそういう対応をとる」と与党側に通告。同意人事の採決時、慣例で副大臣が登壇する参院本会議の採決には3党とも出席しており政策そっちのけの対応は否めない。

 与野党の泥仕合も目立った。秋篠宮ご夫妻が出席した議会開設120年記念式典で「早く座れよ」と発言したとされる民主党の中井洽衆院予算委員長と、同式典で携帯電話の着信音が鳴った自民党の逢沢一郎国対委員長に対して出された懲罰動議は審議を見送った。3日の衆院議運委理事会で川端達夫委員長(民主)が「今後とも品位ある行動をしていくことを確認し、本会議にかけないことでどうか」と「けんか両成敗」で収めたためだ。みんなの党が参院に提出した岡崎トミ子国家公安委員長に対する問責決議案も、ほかの野党が同調せず、採決されないまま廃案になった。

 政策協議の機運は消し飛び、衆院で与野党が修正可決した国民年金法改正案ですら参院ではほとんど審議されずに継続審議に。民主党の岡田克也幹事長は3日、党代議士会で「国民からみれば、こういう審議拒否は許されない」と野党に不満をあらわにした。

 国会が閉会すると、「場外戦」が続いた。自民党の谷垣禎一総裁は3日、閉会後、すぐに東京都内で街頭演説に臨み「菅首相には早く退陣してもらわないといけないと、腹の底から感じる」と述べた。

 民主党は通常国会に向け、国会戦略の立て直しを迫られている。鳩山由紀夫前首相は3日、「国会が終わったから済まされる話ではない」と内閣改造の必要性に言及。前原誠司外相は同日の記者会見で「菅首相、われわれも含めて通常国会にしっかりと戦略をもって当たらないと、なかなか厳しい」と指摘した。共産党の市田忠義書記局長は党会合で臨時国会をこう振り返った。「中身の議論はそっちのけで揚げ足とり的な非難合戦の様相を呈した。一種の政治的退廃現象が起きている」

毎日新聞 2010年12月4日 東京朝刊

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