卓上四季
国民の気鬱(12月4日)
TV中継を見ていて、さすがに国会議員は相当にのどを鍛えているのだなぁ、と感心させられた。質問者だけではなく時には閣僚も、とにかく声を張り上げていた▼その臨時国会がきのう幕を閉じた。耳に残っているのは、野党と政府・与党のなじり合いばかり。内容は惨たんたるものだった。閣僚の失言・放言には、悲しいかなはるか前から慣れっこだ。それよりも、この国をどうするのかが、さっぱり聞こえてこなかったことに落胆した。同様な思いの国民は多かろう▼菅直人首相の答弁ぶりも悪い。日本丸のかじを取る自信が伝わって来ない。トップがこれでは、先行きがますます不安になる。菅政権が守りに弱いのは、守るべき理念や政策が生煮えだからなのか…▼野党にもがっかりだ。揚げ足取りばかりが目立つ。北方領土や尖閣諸島などの外交問題も、政府の対応のまずさを声高に指摘するだけ。2人の閣僚への問責決議可決も、失礼ながら何やら民主党への意趣返しのように見えてしまった。「ねじれ国会」のもとでの問責決議は、野党時代の民主党の得意技だったから▼相手をやりこめるためだけの論戦では、国民の心に「政権を任せたい」との思いは湧いてこない。「熟議」の土俵に上がって提言や対案を論じ合うがっぷりよつの勝負が待たれている▼国民の気鬱(きうつ)のかなりの原因は政治にある。まずその自覚が政治家に要る。