「日本の白砂青松百選」に選ばれている呉市倉橋町の桂浜で、樹齢約400年と伝わる老松が枯れた。高さ10メートル以上で近くにある万葉の歌碑に倒れかかるような状態。管理する市は10月に樹木医の診断を受けて松くい虫被害と分かったが、多額の費用が必要で処分は手つかずの状態。市民から「周囲に被害が広がる危険がある」など懸念の声が出ている。
老松はクロマツで、一帯が瀬戸内海国立公園に指定されている桂浜の中心に育つ。根本から3本に分かれ、地上1・1メートルの幹回りは3本合わせて計5・9メートルで広島県内の松で最も太いとされる。
枯れ始めたのは夏ごろからで、周囲約20メートルに広がる枝葉は大半が赤茶色になっている。白い砂と青い松の名所だけに、枯れはひときわ目立つ。
市農林振興課によると、桂浜の松枯れは今夏以降に目立ち始め、若木約120本も猛暑などで枯れて伐採処分した。老松は枯れが進んで再生は難しい状況で「処分にも膨大な費用がかかる見込み。予算状況などをみながら判断したい」とする。
【写真説明】松食い虫被害で枯れた桂浜の老松。再生は難しく、多額の処分費が必要なため市は手をこまぬいている
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