紅葉の名所として知られる宮島(廿日市市)の紅葉谷一帯にあるモミジの2割が生育不良で、樹勢の衰えが目立つことが5日、保全活動に取り組む住民グループ「宮島さくら・もみじの会」の調査で初めて分かった。同会は、多くの観光客が訪れることで根元の地面が踏み固められる「地盤固化」が要因とみて対策を進める。
調査は11月18、23日、ロープウエー紅葉谷駅奥の奥紅葉谷から藤の棚にかけての紅葉谷川周辺で実施。会員13人が広島県緑化センター(広島市東区)管理責任者の正本良忠さん(78)の指導を受けて当たった。一帯に計701本のモミジがあることを確認。80%をイロハモミジが占めた。
生育度は幹の空洞化や枯れ枝、病害虫の有無などから、「良」「普」「悪」の3段階で判定した。「悪」は全体の20・8%の146本。「良」は9・6%の67本にとどまった。キクイムシなどの害虫被害は40・7%、褐斑病などの病気は23・1%に及んだ。
生育条件では、70・2%の492本で地盤固化が進んでいた。根元周辺が観光客などに踏み固められたことが原因で、根に水や酸素が行き渡りにくくなり、樹勢が衰えていく。逆に土壌が豊かな木は23・3%だった。
【写真説明】紅葉がピークを迎え、大勢の観光客でにぎわう宮島(11月18日)
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