裁判員裁判

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裁判員裁判:強盗傷害少年事件 懲役5~7年の判決--沼津支部 /静岡

 ◇「事件は重大、悪質」

 県内で初めて少年事件を審理した裁判員裁判で、静岡地裁沼津支部は27日、強盗傷害罪に問われた富士市内の無職少年(19)に懲役5年以上7年以下(求刑・懲役5年以上8年以下)の判決を言い渡した。片山隆夫裁判長は「事件は重大、悪質で、被告の責任は重い」と指摘した。

 弁護側は、少年院で矯正教育を受けさせるため保護処分を求めたが、裁判員らは検察側が求めた刑事処分が相当と判断した。判決公判後、検察、弁護側とも控訴しない考えを示した。

 片山裁判長は判決で「被告は共犯の少年にいわゆるおやじ狩りを提案した。事件の中心的役割を果たした」と認定。一方で「反省の言葉を述べ、被害弁償の一部を支払ったことなど酌むべき事情も指摘できる」と量刑の判断理由を示した。

 判決によると、被告は仲間の少年3人と通行人から金品を奪おうと計画。09年3月24日午前1時20分ごろ、沼津市西沢田の路上で、自転車の男性(当時42歳)を木製バットで殴り、仲間の少年が傘などの入ったショルダーバッグ(計約2300円相当)を奪った。男性は重傷を負った。【田口雅士】

 ◇自身の経験重ね審理 「冷静に判断できた」--裁判員会見

 判決公判後、裁判員を務めた6人(女性5人、男性1人)のうち、女性3人が静岡地裁沼津支部で記者会見した。いずれも未成年や成人の息子がいるといい、自身の経験と重ねつつ審理にあたったことを明らかにした。全員、名前は明かさなかったが、2人は写真の撮影に応じた。

 成人の息子2人がいるという40代の会社員女性は「もし自分の子が被告だったらなどと考えてしまった」と振り返り、未成年の息子2人を持つという別の40代女性も「上の子は年が近い。ある面で、当てはめているところもあった」と語った。

 それでも審理では、会社員女性は「結果を出す段階では冷静に判断できた」と話し、50代の自営業女性も「親だという感覚や感情がどこかに表れてしまう。それを改めるためにも4日間という公判日程は重要だと感じた」と述べた。【田口雅士】

毎日新聞 2010年5月28日 地方版

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