2010年12月6日3時3分
【ソウル=箱田哲也】韓国軍は6日から、韓国周辺の29カ所で海上射撃訓練を実施する計画だ。砲撃を受けた大延坪島(テヨンピョンド)周辺では計画されていないものの、関係筋によると、北朝鮮も領海を主張する海域の一部も含まれている。北朝鮮側は5日、「情勢は統制不能な極限状態にある。今後の事態はだれも予想できない」(朝鮮中央通信)と牽制(けんせい)しており、緊張が一層高まる可能性がある。
韓国軍の合同参謀本部は、12日まで海上射撃訓練を予定している。設定海域には大延坪島よりさらに西側の大青島(テチョンド)周辺が含まれており、一部が北朝鮮が領海と主張する海域になっているという。
北朝鮮は国連軍が一方的に引いたとして、海の軍事境界線とされる北方限界線(NLL)を認めず、独自の境界線を主張している。大延坪島や大青島は韓国側の島として認める一方で、島々とそこに往来する海域以外は、自国の領海としている。韓国軍が実際に南北ともに領海と主張する海域で演習するかどうかは不透明だが、海域は非常に近接しており、極度の緊張状態の中での射撃訓練となる。
韓国軍はこれとは別に、先月23日の大延坪島への砲撃で中断されたままの射撃訓練も再開の時期をうかがっている。金寛鎮(キム・グァンジン)・新国防相は4日、就任直後に大延坪島を訪れ、同島周辺での射撃訓練について「天候が良ければ速やかに実施する」と述べた。
ただ、韓国軍の訓練といえども在韓米軍との協調が必要で、合同参謀本部関係者は「実際に訓練するかどうかも含めて慎重に検討すべき問題だ」と語った。
また、5日の朝鮮中央通信などによると、北朝鮮の金永日(キム・ヨンイル)・朝鮮労働党書記は2日、プノンペンであった国際会議で、今回の砲撃について韓国側が加えた射撃に対し、やむを得ずとった「自衛的対応措置」と正当性を強調。大延坪島周辺の海域を「南朝鮮(韓国)の領海と認めたこともないし、永遠に認めない」と断言した。