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きょうのコラム「時鐘」 2010年12月6日
米航空宇宙局(NASA)が、数日も前から発表を予告していた大ニュースは、特異な細菌の話だった。有毒のヒ素を取り込んで生きるという
生物の概念を超え、生命の誕生や進化の謎に迫り、地球外生物の存在につながる発見とされる。だが、異例の予告に期待が膨らんだ分、評価の難しさにがっかりした人も多かったろう。マスコミの扱いもまちまちだった 毒を栄養に変えてしまう話なら昔から日本にあったと言う人もいるに違いない。「毒を変じて薬と成す」という。毒を薬に変える化学実験の話ではない。自分の敵や逆境が自分を強くすると言うように使うことが多い。「艱難汝(かんなんなんじ)を玉にす」と言うのもこれに近い 地球の常識は宇宙の非常識とまでは言わないが、宇宙の成り立ちに善玉も悪玉もない。人間を中心に考えるから毒だの薬だと言う。都合のいい薬や栄養ばかりで自然界は成り立たないことを、昔の人は感じ取っていたのではないか NASAの宇宙飛行士が地球に帰還後、宗教に目覚めるケースがあるという。生命誕生の謎は神か仏にしか分からないと言っているように思うのである。 |