20日午前3時55分ごろ、室蘭市港南町2・23、沼田秀男さん(68)方から出火、木造2階建て延べ約120平方メートルの内部42平方メートルを焼き、約1時間後に鎮火した。この火事で、男女2人の遺体が見つかったほか、男性1人が重傷を負い市内の病院に搬送された。近隣住宅への延焼はなかった。
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秀男さんと妻の登茂子さん(70)、長男の仁志さん(37)が行方不明となっており、室蘭署では遺体は秀男さんと登茂子さんの2人、けがを負い病院に搬送されたのは仁志さんとみて、身元確認を急ぐとともに出火原因を詳しく調べている。
同署と室蘭市消防本部によると、発見された場所は秀男さんが寝室、登茂子さんが居間、仁志さんが玄関付近。火災に気付いた近所の男性が消防に通報した。秀男さんと登茂子さんは2人で暮らしている。仁志さんは同居しておらず、別に住んでいたという。
同署は2人の遺体を札幌医科大へ送り、21日に司法解剖して死因などを調べる。同署と同本部が20日に行った実況見分の結果、1階居間の燃え方が激しく油のにおいがしており、出火原因との関係を慎重に捜査している。
現場はJR室蘭駅から約3キロ離れた住宅街。同市内の死亡火災は、今年初めて。
◆―― 平穏な住宅街に悲しみ
師走の静まり返った住宅街に消防車のサイレン―。室蘭市港南町で発生した民家火災。「優しい人だったのに」「なんでこの時季に」。平穏な住宅街に暮らす住民に不安と悲しみが広がった。
消防に通報した男性(80)は「トイレに起きたら壁をたたく音がした。外を見ると真っ白でふぶいていると思ったが、焦げ臭いにおいがした。外に出ると、隣家のベランダや換気口から炎が出ていたので、急いで自宅に戻り119番した」と話す。
火災が起きた民家の周辺は道路が封鎖され、立ち入り禁止措置が取られた。住民たちは消火活動を不安げに見守っていた。60歳代の女性は「サイレンで目が覚めた。旦那さんは、明るい性格でよく庭の手入れをしていた。住宅街の火災は延焼が怖い」と話した。
近所に住む夫婦は「ニュースを見て驚いた。とてもショックです」と悲しみを語った。
亡くなった沼田秀男さんは室蘭市に勤めていた。当時親交のあった会社員男性(48)は「テレビニュースで亡くなったことを知った。お世話になったので今でも信じられない」と肩を落とす。
沼田さんが住む港南町会の加藤彰一会長は「秀男さんは町会の役員をしていた。登茂子さんともよく会っていた。親密な関係だったのに」と故人を振り返った。
(奥村憲史)
【写真=2人が死亡、1人が重傷を負った民家火災=20日午前6時30分ごろ、室蘭市港南町】
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