2010年10月6日 20時23分 更新:10月6日 21時39分
小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルの中から、地球外の物質の可能性がある微粒子が多数見つかったと6日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。はやぶさが訪れた小惑星「イトカワ」の表面のちりなどが含まれている可能性があるという。
これまで、カプセル内から見つかった微粒子の多くは材料のアルミ粉末や打ち上げ時のちりなどだと見られていた。JAXAは長さ6ミリ、幅3ミリのテフロン製ヘラを特注。イトカワの物質を集めるカプセル内の小部屋(サンプル・キャッチャー)の内壁を遠隔操作でこそぎ、電子顕微鏡で観察したところ、肉眼では見えない0.001ミリ以下の微粒子約100個を採取した。その一部は外観から地球上の物質と断定できないことが分かった。
兵庫県の大型放射光施設「スプリング8」などを使って12月以降、詳しい分析を始める。薄切りにして結晶構造を調べれば、イトカワの物質かどうか判断できるうえ、イトカワができた当時の温度など太陽系誕生史をうかがい知る新たな証拠になる可能性もあるという。
JAXAの上野宗孝・宇宙科学研究所副グループ長は「観察した形だけで断定はできないが、微粒子がたくさん見つかったので(イトカワの物質という)チャンスが広がった」と期待する。【山田大輔】