おととしクラスター爆弾の使用を全面的に禁止する条約に署名したアフガニスタン政府に対して、アメリカ政府が、アメリカ軍による使用を容認するよう働きかけていたことが、「ウィキリークス」が公開した外交文書で明らかになりました。
クラスター爆弾は数多くの小型爆弾を広い範囲にまき散らす爆弾で、戦闘後も多くの不発弾が残り、住民を危険にさらすことから、この爆弾の使用や生産を全面的に禁止する条約がことし8月発効し、日本も批准しています。ウィキリークスは、アフガニスタン政府がおととし12月、条約に署名した直後、当時のブッシュ政権の国務省高官がカブールの大使館に宛てた外交文書をインターネット上に公開しました。それによりますと、アメリカ国務省は「アフガニスタン政府が事前の相談がないままに条約に署名した」と不満を示しています。そのうえで、アフガニスタン政府が条約を柔軟に解釈して、現地で活動するアメリカ軍がクラスター爆弾を使用することを容認するよう大使館員らに働きかけを指示しています。文書の中で、アメリカ政府は、クラスター爆弾の禁止はアフガニスタンに駐留する兵士らの命を危険にさらすことになると、働きかけの意義を強調していますが、こうしたアメリカの姿勢は、クラスター爆弾の被害をなくそうという国際社会の機運に逆行するものだとして、批判が高まることも予想されます。