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3人殺害 遺族が被告に動機を質問

2010年11月25日

 家族3人を殺害した罪などに問われた宮崎市花ケ島町の無職、奥本章寛被告(22)の裁判員裁判は24日、5日目の公判が宮崎地裁(高原正良裁判長)であり、検察官、被害者遺族、裁判員による被告人質問が行われた。25日には検察側の論告求刑と弁護側の弁論があり、結審する。12月7日に判決が言い渡される。

 被告人質問で検察側は、被告が3人を殺害するきっかけとなったと主張する2月23日の午後6時ごろから同11時ごろまで、被告が出会い系サイトで知り合った複数の女性とメールをしていた通信履歴を示して質問。「(帰りが遅いことを被告の妻の)くみ子さんにとがめられてなぜ仕事だったとうそをついたのですか」との問いに被告は「(うそをつかないと)まずいと思った」などと証言した。

 また、「殺害はパチンコや出会い系サイトをする自由な時間が欲しかったからではないんですか」との質問には「違います」と返答。「取り調べでそういう話をしていないか」と問われると、「そこまで深く考えずに話したのでそうなった」と説明した。

 検察側は犯行時についても質問。長男の雄登くんの首を絞める際「かわいそうと思わなかったのか」などと聞くと被告は「苦しんでると思ったが、お母さん(義母)から逃れるために死んでくれ」と首を絞め続けたと証言した。

 同地裁での裁判員裁判で初めて、被害者参加制度を利用した遺族による被告への質問が行われた。殺された池上貴子さんの長男で、くみ子さんの実弟でもある男性は、法廷内で被告を見据え「もう一度、犯行の動機を聞かせて下さい」とゆっくりと問いかけた。被告が「お母さんとの生活から逃れたかったからです」と答えると、唇をかみしめながら「それだけですか」「それだけで殺したのですか」と念を押した。被告は「はい」と答えた。

 男性は「3人に対して悪いという気持ちはありますか」などと質問。被告は「申し訳ない。ごめん。苦しませたり、痛かったやろとか」と答えてから、しばらく沈黙し、「すみません。今うまく出てきません」と述べた。男性はがっかりした表情で「終わります」と裁判長に告げた。

 補充を含め10人中9人の裁判員も被告に質問。補充裁判員の「生活が苦しい状況でなぜパチスロをやめない?」との代理質問に、被告は「生活費に影響していないと思ったからです」と答えた。

 この日は、遺族の意見陳述も予定されたが、取り調べ段階の供述の一部を被告が否認したため、検察側の質問が長引き、25日にずれ込んだ。

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