青森市で09年に女性を絞殺し現金を奪ったとして、強盗殺人など5罪に問われた同市岡造道2、無職、折笠照枝被告(69)に対する裁判員裁判の判決公判が22日、青森地裁であった。小川賢司裁判長は「金品を奪うため殺害したのは明らか」と強盗殺人罪の成立を認め、求刑通り無期懲役を言い渡した。
小川裁判長は折笠被告について、宅配便業者を装って被害者宅を訪れ▽「金、金、金」と押し入った▽滞納していた電気代を殺害当日に支払った--などと指摘。「(動機は)金目当てとしか考えられない」と述べた。
また「別の日の盗みを謝るため訪れたという弁解は不合理で反省しているとは思えない。残りの人生で罪を償うのがふさわしい」と量刑理由を説明した。
判決によると、折笠被告は09年10月18日、同市造道3、無職、村林きみゑさん(当時82歳)方に忍び込んで現金やクレジットカードを盗んだ。11月9日にはスカーフのようなもので村林さんの首を絞めて殺害し、現金約5200円やバッグなどを盗んだ。【鈴木久美】
県内初の殺人事件を審理した裁判員の女性と補充裁判員の男性が判決後、記者会見して人を裁く難しさや苦しさを語った。
裁判員の関洋子さん(57)=青森市=は、争点となった強盗目的か否かについて「折笠被告の心情を推し量るのは難しかった」と振り返った。また「裁判は別世界。初日は重圧で押しつぶされそうだった。寝る時に被告の顔が浮かんだ」と話した。
被害者の遺体写真が裁判員席のモニターに示されたことは「必要だと思うが、負担にならないと言えばうそになる」と複雑な心境を語った。一方、補充裁判員で南部地方の60代男性は「負担とは思わない」と述べた。
また、この男性は裁判員制度に反対と述べ、「素人は法を判断できないのでは。もう二度としたくない」と言い切った。
毎日新聞 2010年11月23日 地方版