突然子どもを亡くした親たちの自助グループ「熊本エンジェルの会」を取材した。これまでに薬物依存症、犯罪被害者、ギャンブル依存症、強迫性障害などの自助グループを取材したが、それぞれ課題を抱えている。
共通しているのは運営費の問題だ。集まりの際にカンパや会費を徴収しているケースが多いが、案内にも金がかかる。最近はメールで案内することで金銭的負担は減ったという声もある。一方、メール相談だけで、集まりに来ない人が増えたという悩みも聞く。
「専門家からの指導より身近な立場の人からの経験が心に響く」と話す人は多い。エンジェルの会は医師のサポートもあるが、病気で子を亡くすと「なぜ救えなかったのか」と医療に良い感情を持たない親もいる。だから医師はあくまで脇役。そんな細かな配慮があるから、安らげる空間となる。
自助グループの代表は一様に「辞めたいこともあった」と話す。それでも参加者の明るくなる表情が活動の支えだ。認知度が必ずしも高くないこれらの団体の存在を発信することが自分にできることかと思う。【遠山和宏】
毎日新聞 2010年11月28日 地方版