芝居の脚本を書いたり演出したり、テレビコマーシャルをつくって 生活するフリーランスの演出家です。仕事が重なれば徹夜もします。 進行が遅れるとご迷惑をおかけしてる方の顔が浮かび、ひりひりと 夕焼けや月を眺める余裕を失います。仕事がない日は全て休日です。 読みたい本、観たい芝居、映画、会いたい友へと思いを馳せていた はずなのに、いざ休日になると妙な不安に襲われ「自分は世の中と 関係が無いかも」「もうこのまま仕事がないかも」そんなおもいに 駆られざわざわと落ち着きません。恥ずかしい話、ワーカホリック なんだと思います。そんな、忙しい時、ひまな時、ざわざわする時、 ぼくは谷川俊太郎さんの詩を読みます。
しあわせ
わたしはたっています おひさまがおでこに くちづけしてくれます かぜがくびすじを くすぐってくれます だれかじっと みつめてくれます わたしはたっています きのうがももを つねってくれます あしたがわたしを さらっていこうとします わたしはしあわせです
ひらがなを目で追いかけながら、時には声に出して読んでみながら 自分の浅かった呼吸がいつのまにか落ちついてゆくのを実感します。
「ああ、ホントそうだよなぁ」って。
「おひさま」も「かぜ」も、世界は、詩を読むまえも読んだあとも なんにも変わっていないはずなのに、じぶんのこころのありようが 変わっています。
冒頭に書いたぼくの不安は、われながら個性的ではないと思います。 だから、きっと谷川さんの詩を読んで、同じように感じて楽になる 方がいっぱいいるんじゃないかなあとおもいます
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Date: 2010/12/02(THU)
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