【コラム】米空母に歓喜するヒツジの群れ(下)
誇りがなければ、恥を知ることもない。哨戒艦「天安」沈没という大変な敗北に直面しても、きちんとした懲戒がなく、うやむやに過ごしてきた。それも、人々の視線が延坪島への砲撃事件に向いている間に処理した。
二等兵から兵長まで、大韓民国の兵士は、世界で最も学歴が高いという。しかし、自分が任務のために命を懸けなければならない「軍人」だという事実を自覚している兵士が、どれだけいるだろうか。かつてある将軍が、「地上軍のうち、特殊戦司令部(特戦司)は信じるに値し、海兵隊は自分の役目を果たせる。それがすべてだ」と語った。これが、一般徴集兵の戦闘力に対する冷静な評価なのかもしれない。
将校はサラリーマンになり、兵士は軍服を着ているものの、本当の軍人ではない。将校は良いポストに就いて昇進することばかりを考え、兵士は除隊の日ばかり指折り数えて待っている。そうして危機が迫ると、米国の原子力空母ジョージ・ワシントンを待つ。その船が来ると、大統領は「ありがとう」と言う。60年ほど続いた平和が作り出したマンネリズムであり、10年間の太陽政策でより一層悪化した現実だ。就職が難しいことから士官学校の合格点が上がるとは、いったい何を言っているのか。
6・25戦争(朝鮮戦争)のとき、中共軍と北朝鮮軍は韓国軍だけを狙った。いい獲物だったからだ。1951年の敵による春季攻勢では、中共軍の小部隊が韓国軍3個師団の後方にある峠道を1本占領したところ、たちまち数万人の大部隊が浮き足立った。将軍たちは物乞いに成り済まして逃亡した。米軍の指揮官があきれ返り、韓国軍の軍団長に「あなたの軍団はどこにいるのか」と尋ねたところ、軍団長は「知らない」と答えた。恥ずかしいという言葉ですら、表現し尽くせない。
そのとき中共軍に捕らえられた数万人の韓国軍捕虜が、端が見えないほど長い列を作っている写真を見た。「今は違う」と、幾度も自分に言い聞かせた。しかし現在の状況は、果たして韓国軍の本質がその当時とは違うのか、と問い掛けている。また、韓国国民の本質がその当時とは違うのか、と問い掛けている。
ヒトラーはイギリスについて、「ライオンの群れをヒツジが率いている」と評した。ヒトラーはイギリスの政治家は怖くなかったが、イギリスの国民と将兵を恐れていた。韓国軍の部隊で講演を行ったある脱北者は、「北朝鮮の軍人は野獣だが、韓国の軍人は両班(ヤンパン=朝鮮王朝時代の貴族階級)のようだ」と語った。よく言えば両班だ。今の大韓民国は、ヒツジの群れをヒツジが率いている。その貧弱な群れの前を、オオカミがうろついている。
楊相勲(ヤン・サンフン)編集局副局長