きのうのBLOGOSシンポジウムで田原総一朗さんもいっていたが、日本のメディアをめぐる状況で驚くべきなのは旧メディアが没落することではなく、それが意外に没落しないことだ。
私がNHKに入った1970年代にも「ニュースはテレビで見る時代だ。新聞は終わる」といわれていたが、そうはならなかった。80年代に衛星やケーブルが出てきたときは「地上波は終わりだ」といわれたが、そうならなかった。90年代にインターネットが出てきたときも「テレビは終わりだ」といわれたが、いまだに日本人のテレビ視聴時間は1日3時間30分で、10年以上ほとんど変わらない。
これは新聞の場合には、宅配と再販制度によって固定客をつかまえていることが大きい。ウェブ版にも全文は出さず、1ヶ月ぐらいで記事を削除するなど、各社が談合して紙の新聞に劣る媒体にしている。テレビの場合には、行政に圧力をかけてIP配信を規制させ、オンデマンド配信業者を訴訟でつぶすなど、著作権を理由にしてコンテンツ流通を制限してきたため、ネット配信ビジネスはほとんど育っていない。
このように延命するのはいいことのように見えるが、長い目で見るとどうかはわからない。欧米では新聞社の経営破綻が相次ぎ、多くのジャーナリストが失業し、Huffington PostやGawkerなどのウェブメディアの契約記者になり、ブログなどで生活を立てている。彼らの死に物狂いの試行錯誤の中から次世代のメディアが出てくるかもしれないが、日本ではジャーナリストは会社ごと沈んでゆくだけだ。あと5年ぐらいたったら、この差は決定的になるだろう。
これからのメディアは、従来型のインフラとコンテンツを垂直統合した大企業ではなく、クラウド的なインフラで情報を発信する個人メディアになるだろう。そこでアクセスを集めるために重要なのはNHKや朝日新聞といった肩書きではなく、価値のある情報をもっているかどうかという個人ブランドだ。中間集団が崩壊し、個人がネットワークを介してつながる超近代社会にメディアも否応なく呑み込まれる。
そして企業の役割は、個人メディアが情報をマネタイズするためのツールを提供するインフラになるだろう。広告収入だけで営業を成り立たせるのは困難なので、メルマガや電子出版やイベントなどone source multi-useで稼ぐシステムを確立する必要がある。ライブドアがBLOGOSなどで試みているのは、その実験である。
これは新聞の場合には、宅配と再販制度によって固定客をつかまえていることが大きい。ウェブ版にも全文は出さず、1ヶ月ぐらいで記事を削除するなど、各社が談合して紙の新聞に劣る媒体にしている。テレビの場合には、行政に圧力をかけてIP配信を規制させ、オンデマンド配信業者を訴訟でつぶすなど、著作権を理由にしてコンテンツ流通を制限してきたため、ネット配信ビジネスはほとんど育っていない。
このように延命するのはいいことのように見えるが、長い目で見るとどうかはわからない。欧米では新聞社の経営破綻が相次ぎ、多くのジャーナリストが失業し、Huffington PostやGawkerなどのウェブメディアの契約記者になり、ブログなどで生活を立てている。彼らの死に物狂いの試行錯誤の中から次世代のメディアが出てくるかもしれないが、日本ではジャーナリストは会社ごと沈んでゆくだけだ。あと5年ぐらいたったら、この差は決定的になるだろう。
これからのメディアは、従来型のインフラとコンテンツを垂直統合した大企業ではなく、クラウド的なインフラで情報を発信する個人メディアになるだろう。そこでアクセスを集めるために重要なのはNHKや朝日新聞といった肩書きではなく、価値のある情報をもっているかどうかという個人ブランドだ。中間集団が崩壊し、個人がネットワークを介してつながる超近代社会にメディアも否応なく呑み込まれる。
そして企業の役割は、個人メディアが情報をマネタイズするためのツールを提供するインフラになるだろう。広告収入だけで営業を成り立たせるのは困難なので、メルマガや電子出版やイベントなどone source multi-useで稼ぐシステムを確立する必要がある。ライブドアがBLOGOSなどで試みているのは、その実験である。
コメント一覧
USTREAMちょと見ました。さすが田原総一郎しょっぱなからするどい指摘ですね。テレビのいい加減さにひかれてテレビ局にはいったとおっしゃる。
想像なんですが、もともとテレビというのはトップ屋精神目立とう精神のある連中がよってたかってつくりあげたメディアだったのだと思うのです。
そうだとすると、なにかというとお笑い芸人ならべてクイズみたいな現状ってテレビ屋さんにとってどうなんでしょう?
高収入という特権もうしなわれつつある昨今、テレビ屋さんの本音もきいてみたいですね
>>個人のマネタイズ
それにはやっぱりインターネット接続のプロバイダ課金という仕組みが必要では?僕は最近のAndroidによるスマートフォンはモバイルコンテンツ業界にとっては後退ではないかと危惧します。結局ノートPCと同じになってしまい、コンテンツのタダ乗りユーザーを増やすだけ。そこを考えたら通話料と一緒にコンテンツ料を払うiモードのありがたみを強く感じます。
携帯電話もスマートフォンに変わり
通話もスカイプなどの無料IP通話が登場し、
Google、Appleがテレビに参入
おそらく壮大な情報の海を制するのは黒船だろう。
ソフトバンクや旧ライブドアの意見を受け入れない日本は衰退あるのみ。
池田信夫さんのいう「個人メディア」というのはどこまで含まれる(編集者も含む?)のかは分かりませんが、過去のインタビューでAppleのSteave Jobs氏が「ブロガーの国になった米国などみたくない。」という主旨の発言を聞いた気がします。
そういう意味では両氏の考え方は少し違うのかなあ〜
とても面白くて勉強になりました。しかし旧メディアは死ぬのでしょか?自分としては新聞は、確定したニュース、ネットニュースは進行形のニュースとしてとして捉えています。新聞の死亡欄や折込チラシは重要な情報。それで新聞社を選んでいる。(日経は折込チラシが少ないのでやめました。)またNHKの朝の世界の放送局のニュースは、ネットのニュースより情報が早い。旧メディアも好きですね。
フェイス&フェイスと言う事を話されていましたが、ネットにおいて情報を受けるほうもそうです。情報発信者が見えることが、情報の安心感になるかと思います。