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「都民住宅」オーナー苦境 都の家賃補助、期限切れ迫る(2/2ページ)

2010年12月5日10時33分

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写真:1995年に建設された民間オーナー型の都民住宅=東京都板橋区1995年に建設された民間オーナー型の都民住宅=東京都板橋区

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 空室率が上がれば家賃収入は減り、オーナーの建設費返済に支障が出る。都は08年度から、支援終了を控えた物件に対して建設費の残債の利子補給額を一括支給する制度を始めた。08〜09年度は約150物件に約80億円を支出、今年度は約40億円を見込む。09年度には赤字物件向けに改修費補助制度をつくり、今年度は4億円を計上した。これらの資金を使い、室内のリフォームなどで競争力を高めてもらう考えだ。

 都の担当者は「都民住宅の役割は終わった。古い物件は設備を更新しないと入居者が選んでくれない」。都幹部の一人は「バブル期には必要に迫られ、多少不便な立地でも都民住宅を建てた。景気の右肩上がりが続く想定だったが、今となっては負の遺産だ」と話している。

■「借金は残ったまま」

 95年に父親が建てた都民住宅(20戸)を相続した板橋区の男性(58)は、「官主導で建てたのだから、公的支援を続けてほしい」と訴える。

 物件は最寄り駅から徒歩13分。当初は家賃を13万5千円に設定し、都が決めた入居者の負担額との差額の補助を受けていた。だが周辺の家賃相場が下がる一方で入居者の負担額は年々上がるため、「安さのメリットがなくなった」と引っ越した住民も出た。

 設定家賃を入居者の負担額まで下げれば、都の補助は受けられなくなる。だが、下げなければ入居者が逃げる。やむを得ず下げた結果、都からの補助は月約10万円の管理事務費補助だけになった。全額を不動産業者への管理委託費に充てている。

 建設費の残債は、約2億5千万円。数年以内にエレベーターや屋根の修繕に数千万円かかるが、積立額では足りない。「都民住宅の役割が終わっても、私たちの借金は残ったままだ」と語った。(渡辺志帆)

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