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[24711] テイルズ短編集【習作】
Name: わんわんお◆9f203f33 ID:1b06d174
Date: 2010/12/04 17:39
PS3を持ってなくてカッとしてやった。後悔は(ry

更新はまったりですが、お付き合いくださると嬉しいです。
あまり文章は上手くないですが、これから上達していけたら。

注意
一応ゲームはプレイ済みですが、設定は適当です。
転生物で女主人公です。地雷注意。



[24711] グレイセス転生もの。
Name: わんわんお◆9f203f33 ID:1b06d174
Date: 2010/12/04 17:49
プロローグ

私はずっとその映像を眺めていた。
薄紅色の髪をした女性と、灰色の髪をした男性が画面にむかって何やら笑顔で話しかけてくる。
だが、私にはその言葉の意味は分からない。
ただとても幸せそうな様子が見てとれて、私は飽きることなくその映像を見続けた。
登場人物は主にその男女とあと、ロマンスグレーなおじいちゃん。
たまに茶髪のお兄さんやら、青髪長髪のいかにもなお嬢様といった人たちも登場する。
彼らの映像を見る日々が続く。時間の感覚はない。ただ無心に、彼らを見る。
いつしか私は彼ら――特に薄紅色の女性と灰色の男性が好きになっていた。
なんて優しげで、楽しげで、素敵な人達だろう。
だが、私はここで見ていることしかできない。そんな風に思い、ため息をついた時だった。

「クーニャ、どうした?」

今まであやふやだったすべてが、途端にその姿を変えた。
画面の向こうの人物だったと思っていた、人が眼前に居る。


「――――?」

思えば、これが自我の目覚めという奴だったのだろう。


○月×日

どうやら転生したらしい、と気がついたのは自我が目覚めてからいくらか経った時だった。
成人していた筈なのに赤ん坊の身体。初めは信じられなかったが、数日も経つと現状を否定するのは厳しくなってきた。
前世では無宗教だった私だが、輪廻転生が本当に実在するとは思いもしなかった。ブッタさんすごい。

「うーあー」
「うふふ、クーニャちゃんは元気ねぇ」

最近は、セーテって名前らしいお母さんがずっと私の相手をしてくれてます。いないないばあ的な顔芸とか、音の出るおもちゃとか。
それにしても赤ん坊は本当に体力がない。少し遊んだだけですぐ眠くなってしまう。色々考えたいことはあるのに、そんな余裕がなかなかない。
ここはどこなんだろうなあ。部屋的にはヨーロッパ辺りだろうか。少なくとも日本ではない。
青髪とかピンク髪とか普通に居るんだけど、さっぱり分からない。前世は日本から出た事なかったし、あまり外国に興味もなかったしなあ。
大きくなったら日本には絶対行きたいなあ。

×月■日

最近、青髪のお姉さんを見ません。
それまではちょくちょくお母さんのお見舞いに来てくれていたのに。
どうしたんだろう。私はあのお姉さんが結構好きだったので寂しい。
私のお母さんもなかなかの美人ではあるけど、あのお姉さんはなんというか格が違う。
容姿もだけど、気品というか滲み出る何かが違う。あれが正真正銘のお嬢様なんだなーという感じがする。
代わりに茶髪のお兄さんが来てくれるようになったけれど。こっちは無愛想で怖い。
赤ん坊の涙腺は凄く脆くて、この前つい泣いてしまったらとても困っていた。反省。
お母さんとお兄さんは何やら話しているけど、私にはまだ難しくて何を言っているかは聞き取れない。
早く言葉を覚えたい。

そんな感じで変わらぬ日々を過ごしていたら、勢いよくお父さんが家に飛び込んできた。
早口で何事かを叫んでいる。何かあったのだろうか、とぼんやりその様子を眺めているとお母さんがせっせと出かける準備をし始めた。
なんだろう? と思っていると、お父さんが私に帽子とコートを着せて抱き上げた。
そして、着いた先はやたらでっかくて豪華なお屋敷だった。ざわざわと屋敷の中も外も慌ただしい。
お父さんとお母さんは、周りの人達と笑顔で会話を交わしながら屋敷の中へと入る。
そしたら、おじいちゃんが笑みを零しながら近づいてくるのが見えた。

「元気な男の子だ」
「まあ! ケリーの様子はどう? 会ってもいいかしら」

お母さんがおじいちゃんに聞くと、おじいちゃんは近くのメイドに視線を向けた。
それで通じたのかは分からないが、「あまりご負担をかけないように」と言っておじいちゃんは道を開けてくれた。
とある一室に入ると、青髪のお姉さんが少し疲れた様子で赤ん坊を抱いている。
そこでやっと私は状況を理解した。お姉さんが最近来なかったのは、出産のためか!と。
子供同士、ご対面させられるがぶっちゃけ生まれた直後はただの猿みたいであまり可愛いとは思えない。
だが、年上の貫録を見せようと笑顔を向けると………泣かれた。なにそれひどい。
そんなやりとりをしていると、茶髪のお兄さんが部屋に入ってきた。そして、青髪のお姉さんと赤ん坊を愛おしそうに一瞥する。
この人たち夫婦だったのかー!と私は驚いていた。

「アストン様、」

と、お父さんとお母さんは頭を下げた。アストンと呼ばれたお兄さんは、それに応えることをせずただじっと顎に手を当て思案しているようであった。
しばし、赤ん坊の泣き声だけが部屋に響いた。

「……ケリー、この子の名前は『アスベル』でどうだ」
「アスベル……、とっても素敵な名前ね」

その赤ん坊の名前はアスベルに決まったみたいだ。……。アスベルか。
アストンとかケリーと、アスベルか。なんか違和感を感じるんだけど、なんだろう。
気のせいかな?

◇月○日

お母さんの友達のケリーさんが、アスベル君を生んでしばらく時間が経ちました。
私はといえば、歩けるようになりました。そして、様々な収穫がありました。
まず、お母さんがもうすぐ出産するようです。ベットで寝てたのは妊娠してたからみたい。
兄弟ができるみたいです。前世は一人っ子だったので、ちょっと楽しみです。
弟か妹か。…………。やっぱり妹かなあ。
色々、自分のことや世界のことが分かってきたので報告します。
私の名前はクーニャ・バーンズというらしい。ウィンドルのラント領に住む、ごくごく普通の家庭です。
……。普通かなあ。
色々絵本を読んで貰ったり、言葉を教えてもらうたびに知っている単語がたくさん出てきます。
アップルグミとか、かめにんとか。この国の王子の名前を聞いたらリチャードって返ってきたよ……。

この世界って、もしかしてテイルズオブグレイセスの世界なんだろうか。そんなまさか。

テイルズオブグレイセスとは、テイルズシリーズというRPGの中のひとつである。
他のテイルズシリーズに比べると、人種差別やら悪の組織やらは特にないのでそこまで過酷なストーリーではない。
王子が破壊願望のある生命体とシンクロし、各国を襲いまくるといったリチャード王子(とラムダ)がたった一人で悪役を頑張っているといった作品である。
他テイルズと比べたら、平和なストーリーである。

そして、私の苗字はバーンズ。
テイルズオブグレイセスのメインキャラであるシェリアと同じである。

ゲームの世界に転生など、ありえない。そう思いながらも、私はお母さんのお腹を見た。
もし、もし生まれたのが女の子で、「シェリア」だったらすべて認めようと決めながら。

◇月☆日

結論。どうやらここはテイルズオブグレイセスの世界らしい。
そうです、妹が生まれました。でもあまり喜んでばかりはいられない。
シェリアと名付けられたその赤ん坊は、未熟児。なんか凄く小さいし、泣く元気もない。
それに、お母さんもシェリアを生む前後からどこか調子が悪い。
お医者様がずっと二人についていて、私も不安で仕方ない。
そういえば、グレイセスではシェリアの両親はどうだったっけ。
……。どうしよう、恐ろしくてたまらない。
いくらここがグレイセス世界、ゲームの世界だとしても私にとって両親は虚像なんかではない。
私は今の両親が大好きだし、愛している。でも、私にできることは何もない。

……何も、ない?


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