チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[24667] 【ネタ】一般人のモンハン生活(MHP3rd発売記念SS)
Name: ねりきち◆6ef99ad3 ID:9b1a9775
Date: 2010/12/04 15:10
はじめに

「現実→モンハン」のオリ主です。

MHP2ndGとMHFの設定が多いです。
オリ設定が山のように出てきます。
原作シリーズのストーリなど欠片も存在しません。

当MH世界では、人々の生活の中に狩猟がありその延長線上にモンスター狩猟が存在します。そのため、竜種が居る所に人里は作りません。故に、ベテランハンターといえど戦闘経験は低いです。そんな、素朴に生きている彼らの中で現代人が生活する話です。
上記のようなオリ設定や嘘設定が山のようにでてきます。大事なことなので(ry

あと、レウスvs一般人を書きたかっただけです。

MHP3rd発売おめでとー!!



(初稿:2010.12.01)



[24667] プロローグ
Name: ねりきち◆6ef99ad3 ID:9b1a9775
Date: 2010/12/01 23:40

奇妙な服を着た女がいる。血を流し、今にも倒れそうだ。

重たい体を引きずりながらも前へすすむ。一歩でも。

ブーツはまるで雨の日のように水を吸っている音をさせる。
血が止まらない。

何故こうなった、と思う。油断はなかった。

今頃になって痛みが増してきた。左腕の関節が増えている。

仲間がどうなったのか判らない。

――轟音とともに一人が燃え上がった。

――呆けてる間にまた一人押し潰され吹き飛ばされた。

――私は木に叩き付けられた。動ける。逃げた。必死に。

右手は毒で感覚がない。応急手当もできない。

たすけて。しにたくない。







プロローグ







俺はもうすぐ発売される新作ソフトに向けて前作を復習してる最中だった。

俺はPSPやりながら歩いていたらトラックに引かれた…はずだ。

あの時、体力が残り少なかった。画面の中の蒼レウスが突っ込んできて焦った。

同時にトラックも突っ込んできた。焦ったがもう遅い。

――俺はトラックに轢かれ、たぶん同時にゲームでも蒼レウスに轢かれた。

「誰かいませんかー」

怪我はない。返事もないな。

(ここはどこだろう?)
死後の世界。もしくは夢かもしれないと馬鹿な考えが浮かぶ。たぶんただの森林公園だ。

PSPはスリープ状態にしてポケットへ入れておく。画面を見たらベースキャンプにいた。報酬のゼニーは3分の2に減っていた。

約6年間も大事に使い続けたのだ。ケースに入れたかったが見つからなかった。マフラーもリュックも腕に掛けていたコートも見つからなかった。

空を見ると巨大なナニカが目に映った。

(と、鳥なのか!?ってか恐竜みたいだ!)
地面は平坦ではなく歩きづらいこと甚だしかったが追いかけた。

追いかけるとは、その時の俺はどうかしてたんだと思う。もし見つかれば死んでいたかもしれなかった。

(…ホントどこだどこ?)
当然、すぐに見失って途方にくれた。

怖くなってきた。不安になってきた。

周りを見回すが結構移動したはずなのにあまり景色は変わっていない…広い森林公園だ。

(…遭難したのか俺?えっと移動せず救助を待たなきゃいけないんだっけ?漫画とかの受け売りだけどホントかね?)

空に目を向けても、ヘリや飛行機は見えない。それどころか車のエンジン音も聴こえない。

とりあえず持っていたPSPの電源をオン。スループ状態から復帰させる。レウス討伐クエストの途中だったはずだ。

報酬の三分の一がなかった。時間も進まないようだ。壊れてしまったんだろうか。ヘコむ。

クエリタしても良かったが迷った。すでに部位破壊はしていたから。

ため息をついた拍子、ふと鼻につく臭いを捉えた。

その瞬間にはPSPはポケットへ、そして歩き出す。人に会いたい。

焦げ臭い。人がいるのかと期待が大きくなる。

木と草が焦げていた。そして人が寝てる。その人は鎖帷子のような鎧をまとったおっさん。近くには剣や盾やら薬やらが散らばっている。

(こんな山でコスプレかよ。それともなんかの撮影か?)

動く気配がない。さらに不安になってきた。

「って大丈夫ですか!」

日本人離れした顔つき。
近づいて判った。鎖帷子には無数のキズ。使い込まれた装備類。見慣れたコスプレではない。

だからすぐ判った。


(ハリウッドすっげー!)

ここはアメリカらしい。そう思うことにしよう、いやそうしよう。

(ハリウッドって何州だったけ?カメラどこだろ?)

岩の陰にもう一人いるようだ

「あのー、ちょっといいですか?」

声をかけてみたが返事がない。シカトですか。イラッときたが耐えた。

「え、えくすきゅーずみぃー?」

…首が変な方向を向いてる。

(うわあ、キモチワルイ)

つついてみた。頑張って脈を取ってみた。

(――っ!?これってやばいだろ!)

動かないはずだった。ハリウッドではないらしい。ホントは判ってたけど。いくらなんでもアメリカはないし。
…さらに不安が大きくなった。

とっさに周りを見回すが誰もいない。

(さ、殺人犯がいるかもしれない!)

そばにあった剣と盾を手に取った。

やっぱりこれも使い込まれた感じがする。

(なんだろ?なんだか見覚えがあるようなきがするんだけどな…)

死人から奪うなんて気が引けるが、自分の命の方が惜しいのは誰もが一緒だ。

思えば、これが俺の初めての『剥ぎ取り』だった…のだろうか。





(初稿:2010.12.01)



[24667] 01
Name: ねりきち◆6ef99ad3 ID:9b1a9775
Date: 2010/12/02 22:06
俺は死体に遭遇し剣や盾を見つけたんだが、途方にくれていた。

現在地も状況も不明。食料もなく。ケータイも財布もない。それらを入れたバック自体持ってなかった。

大体、トラックに衝突したはずなのだ。それまでやっていたモンハンのせいで気づいた時には手遅れだった。ぶつかったような気がする。

その次の瞬間には大自然の中にいた。唯一の持ち物はPSP。

ディスクが飛んでくギミックが付いている初期型モデルだ。使い初めて6年間ぐらいだろう。

大学に通いつつ授業中でも友人とモンハンをやる決して真面目な学生ではなかった俺。

モンハンは俺のキャンパスライフそのものかもしれない…メッチャ悲しいが。

(ライブでピンチだ…ってやつか…はぁ)

溜め息をつきながらも足を前へ動かす。

おっさんの死体の近くで見つけた何者かの痕跡。血の付いた足跡を俺は辿っている。

右手には剣を持ち肩にかけた袋を左手で支え歩く…怖い。この先には殺人犯がいるかもしれないのだから。そいつは既に『二人』も殺している。

殺人現場は謎ばかりだった。そこから離れた今も現状を把握できていない。





思い出すのはおっさんを目撃した現場。

剣と盾を持ち慎重に周りを確認した。幾つか血痕と血の付いた足跡を発見。しかし誰もいなかった。代わりに青年の死体がさらに一つ。おっさんは首の骨が折れたことが死因だろうが、青年の死因がわからなかった。血痕の元になった傷痕程度では死にはしないだろう。

(火傷らしきあとがあるようだけどこれだけで死ぬのだろうか?炎を吸い込んだ?肺を焼かれて死んだのか?)

奇妙な二体の死体の持ち物も調べてみた…気が引けるが。

地図、コンパス、食料(肉や米など)、小型ナイフ、布、縄、紐、かご(中には草があった)、糸と針、包帯、炭。他にも皮袋の水筒らしきもの。
大小の容器や薬のようなものが幾つかあるがよくわからない。さらに用途不明の小物が幾つか。
そして二人とも見たこともない文字列が彫られたドッグタグらしきものを首に架かけていた。
塗料らしきものをつめた玉も発見した。若い人は弓を持っていたが壊れていた。おっさんの鎖帷子も少し壊れていた。

この中で、俺が一番気になったものは地図だ。
地図に書いてある文字。日本語だ。一部は見たこともない記号のような文字列があるがほぼ日本語で書かれている。地図の内容はお粗末だ。まず手書き。道や川や山そしていくつかの目印などが書いてある。そして道や印が集中してる場所が一つ。
ポット村と書かれている。

(地図の所有者はこのポット村に住んでいたのだろうか?)

結局、地図を見ても現在地はわからなかった。

この状況でまさかと思うが、この人たちはレンジャー部隊で作戦行動中だったのだろうか。そうすると地図は暗号や符丁のようなもので書かれているのだろうか。
だが無線機など通信機がない。狼煙でも上げるのか。

テレビや本でしか兵士のことしらない俺にでも判ることがある。迷彩服の代わりに鎖帷子を着る兵士はいない。

見つけた地図で気になる点が一つ。大きく赤い×印があり下にはキケンの文字。そして

「…怪鳥発見報告地点。」そう書いてあった。


俺は死体の見えない場所へ移動し、彼らが持っていた食料を食べることにする。
硬い肉だった。保存食。燻製肉ってやつだろうか。死体の状態が良くてよかった。食欲はある。

(もぐもぐ。考えるべきことはたくさんある。)

まず二人の死体。殺されたのだろう。一人は多分炎を吸って。もう一人は凄い勢いで何かに叩きつけられた。
まだ死後硬直ってものも起きていないように思う。回りの焦げ跡もできたばかりだから死んでから時間だ。たぶん。

ふと頭に浮かんだものは馬鹿らしい中でもさらに馬鹿らしい。
(…飛んでいたデカ鳥。まさかレウスだったりとかね)

次に足元に転がる剣。装飾剣のような形状だが使い込まれている。そして良く切れる。太い枝などもスパッと。

この硬い肉も簡単に切れた。けれど明らかに包丁ではない。反りのある刃は刀のようだが重心を刃先へおくことで遠心力で叩き切る鉈のように使うのだろうか。
この鉈モドキは片手で振り回すようにできてるのか俺にも使えそうだったし持ち運びもたやすい。

ここでも馬鹿らしい考えがよぎる。
(…なんかハンターカリンガ系に似てる。初期武器はよく覚えてないけど装飾が控えめな気がする)
もしくはハンターナイフかな。初代MHP懐かしい。

さらに地図。このキケンと怪鳥の文字。
「はは…イャンクックのことだったりしてな…。」

結局、現在地も状況も不明だ。

選択肢は二つ。
一つ目は、ここで待機。彼らが持っていた食料を食べてれば4日は持つだろう。彼らの捜索隊が来るのを待つ。
二つ目は、血の足跡を追跡。足跡の主が殺人犯である可能性もある。危険だ。

(…どうすっかなー)

結論からいうと俺は追跡を選択した。しばらく進んでみて様子をみることにした。
死体から使えそうなものを取る。死体がいきなり起き上がりそうで怖い。
一般人である俺は死体など見る機会などない。じいちゃんが死んだときちょっと見ただけだ。それも化粧をされていた。
あまり見ないようにして作業を進める。

迷ったが盾は持っていくことは止めた。重いし。





歩く。汗が止まらない。やっと気が付いたが季節が日本とは違う。いまは冬だ。歩くだけで汗を掻くなんてあるわけない。
(…アメリカの南って亜熱帯だっけか?そんな気がする)
地理の勉強など高1以来やっていない。

俺は、地図のことを思い出しながらも歩き続きていたのだが、足場が悪い所でぼおっとしていることは危険に決まっている。
案の定、足をもつれさせ倒れた。

「うわっ!」ビタンッ!

「いてーよ。うぅ」

両手が塞がっていた俺は思いっきり顔から行った。ここまで来る間に汚れた服や顔は更に草やら土やらで酷いことになっていることだろう。

起き上がるのも面倒臭くなって仰向けになってみる。

(やばい、涙出てきた。ココはどこだよホント。)

360°周りを見回せば木、木、木。木しかない。完全な森にしか見えない。ここは朝から相変わらず虫やら鳥やらの音が聴こえる。







第1話







(…私は…ここはどこだろう?)

「おはよう。といってももう日が沈むがな。目は覚めたか?」

その声に顔を向ける。

「…キール!?状況は?」

彼にそう問いかけ起き上がろうとした

「…ッ!?」

その瞬間に激痛が走った。しかし顔をしかめることも眉を動かすこともない。

「無理に動かないで。傷が開くと大変だから。」

そう言って彼は私の傍に座った。木が生い茂り空は見えない。ここならヤツにも発見されづらいだろう。
彼の説明を聴きながら傷を確認してゆく。ゆっくりと。

左腕には添え木と包帯。肋骨にも包帯が。多分罅が入ってる。左大腿部には裂けたような傷。キールが縫ったそうだ。いまは出血は止まっていた。
関節も含め体中が痛い。頭も痛いし、熱もある。けれどどうやら内臓にダメージはないのは幸い。

ランポスの鱗を混ぜて作った鎧は役にたったようだ。彼の用意した粥も食べることができた。

ガーティとビックスは戦死した。

「状況は最悪ね。私は歩けない。怪我がなくても一番近いポット村まで丸一日かかるわ。」

大きく息を吐く。それだけで体が軋んだ。しかし苦しみを顔に出すことはない。

半日私は寝ていたらしい。キールが私をヤツから見つからないようにここへ背負ってきてくれたそうだ。

(この場合ショック死しなかったことを喜ぶべきなのかしら?)

彼を見る。所々包帯を巻いている。私に比べればマシだが満身創痍には違いない。

「…とりあえずゆっくり休め。」

そう言うと彼も布に包まり横になった。

しばらくすると彼の寝息が聞こえてきた。

私の状況はまさに最悪だ。足手まといだし、今の私では誰も抱く気にもならないだろう。利用価値ゼロ。キールは私を見捨てるだろう。私でもそうする。

考える。そもそも今の私には思考することしかできない。

今回のクエストはケチが付きっぱなしだった。当初のメンバーに欠員が出て土壇場でメンバーが変更、顔見知りなのはキールだけとなった。
ガーティはセクハラ親父だったし。でもここまではよくある話ね。
辺境でもないポット村でギルドからの支給品が遅れていた。こんなことは初めてだ。

極めつけが最後のアレだ。アレはイャンクックではない。そもそもクックの目撃地点は迂回した。私は空を飛んでいたクックを見たことがある。あれは鳥竜種ではなく飛竜種だろう。しかし蒼色の飛竜とは聞いたこともない。

あの絶望は簡単に思い出すことができる。





私たちは油断なくけれども適度に余裕を持って進んでいた。

空から滑空してくる蒼い飛竜に私が気づいたのと飛竜が火を噴いたのは同時だった。

ガーティは剣を抜く暇も回避する余裕もなく炎に包まれた。爆風に煽られキールは吹き飛ばされた。
ビックスは飛流の翼の放つ風圧で動くこともできない。セクハラ親父ガーティがしつこいので私は彼から一番離れたところを歩いていた。

だから私だけこの時、行動を起こすことができた。
けれど私は動くこともできず呆けていた。瞬きもせずただ見ていた。青いそして巨体、クックなどよりはるかに大きい。

ただ見ていたのだ。
飛竜ではなくその強靭な龍鱗に走る無数の傷を、斬り飛ばされた尾を、折られた翼の爪を。
脚も翼も体もキズつき頭は特にズタズタだった。その飛竜は間違いなく瀕死だった。そして怒り狂っていた。
その鱗に付いた傷は大剣より斬ることを重視した武器、例えば太刀かそれに類する武器で斬られた傷なのか。
名刀の中の名刀だろう刀によって強靭な鱗は弾く事も出来ず綺麗に斬り裂かれている。

この太刀を振るったハンターは間違いなく凄腕中の凄腕。唯ひたすらに攻めては回避しそしてまた斬りつけ、それを繰り返した。
ただただ冷静に作業のように繰り返したのだ、この凶暴な飛竜に対して、ありえないほど正確に頭部への斬撃を。

私は戦慄しそして理解する。そのハンターは敗れたのだろう。討伐目標につける目印のペイントはほとんど剥がれていた。ペイントボールを投げてから2日は経っている。

私たちにとっては一撃で必殺レベルの攻撃。最高の防具で固めていても何回も防げるものではない。全て回避したのだろう。
薄氷の上を歩くような状態で戦いそして力尽きた。あと少しで飛竜は討伐されただろうほどに弱っている。

その戦いを想い、目に見えぬハンターを幻視した。だから私は呆けていた。

その間にビックスが岩に叩きつけられた。風圧のせいで回避も出来なかったのだろう。首が背中を向いている。

飛竜は私に体を向けたが一瞬脚をひきづり、だから私は抜刀する余裕があった。それでも速い。

剣を右手にそして左手に持った盾を構えた瞬間に衝撃。

「…ッ!!」

防御など意味を成さないとばかりに私は吹き飛ばされ後ろの木にぶつかった。私の左腕の骨折はこの時のものだ。

(冷静になれ!それでもハンターか!)

亡き父の口癖を思い出しすぐに頭を切り替える。まだ剣も握れぬ子供のころから言われ続けた。今は違う。いまの私もまたハンターなのだから。

身体状況を確認。左腕は無理だろう。出血もひどい。枝が脚に刺さったがまだ動ける。

前転しつつ片手剣を納刀し、毒の塗ってあるナイフを飛竜の頭部に投擲する。鱗に当たるが浅い。
すでに構えていた二投目を放つ。傷つきすぎて肉が見えている頭部へ吸い込まれるように飛んでいき、命中。

たいした効果はない。しかし十分。ナイフへと意識を割いている飛竜に背を向け走る。走るたびに左脚が痛むが気にせず走る。

逃げた。逃げきった。そして私は気を失った。





(ホントに…よく生きていたものね私も。)

最初の一撃で意識を失わなかったのも、あの状況で投げたナイフが頭に当たったのも偶然。もしヤツが五体満足なら死んでたのは私だ。

ヤツもあの傷では遠くまで飛べないはず。まだ近くにいる筈だ。ヤツは怒り狂ってる。人間を発見すれば見境なく殺すだろう。

急いで村に知らせる必要がある。すぐに避難勧告と討伐隊の要請をしなくてはならない。青い飛竜が村に現れれば誰も助からない。
恐らくポット村を防衛拠点としている多数のハンターが派遣されてくる緊急クエストになる。もしかしたらドンドルマからも応援がくるかもしれない。
並みのハンターが何人いても被害が増えていくだけだろう。中央から凄腕ハンターが派遣されてくることもあるかも。ぜひ会ってみたかった。

キールもそれは考えているはずだし。明日の朝になれば彼は発つ。歩いて1日の距離でも今の彼では2日もしかしたら3日かかるかも。夜の番が出来ないほど疲弊しているのだから私を背負って行ける訳がない。

さらに村で私のことを伝えても救助にくるハンターなどいない。未知の飛竜がいるエリアに友人でもない小娘一人助けには来ないだろう。

私はここで死ぬ。歩くことすら満足にできない私は死ぬ。あたりまえだ。

(…死ぬのか私は)

ハンターなんてやっているのだから覚悟はできている。
それでも泣いた。

(…しにたくない)

私は隣のキールを起こさないように声を殺しながら涙を流し眠りに落ちた。





(初稿:2010.12.02)
(修正:2010.12.02)


モンハン日記

12月2日 晴れ
プレイ時間 6:37
ずっとソロ。友達買えなかったんだorz



[24667] 02
Name: ねりきち◆6ef99ad3 ID:9b1a9775
Date: 2010/12/04 03:00

死体の傍のから続いていた血痕を追いかけてみてから数時間が経った。
もはや血痕も血の付いた足跡もない。

今俺は少しでも歩き易いだろう道らしきものに沿って歩いている。

(どこに続いてんだこれ?獣道ってやつか?クマとか出たらどうすっかなあ)

左肩からは剣をひもで吊っている。鞘はボロボロで使い物にならなかった。
右肩には死体から盗んだ…もとい借りた装備が袋につまっている。


しばらく血痕を追いかけて歩いていたがある地点から先には血の跡を発見できなかった。
多分治療をしたのだろう。その最後の血の跡には布や幾つか薬の容器らしきものなどが落ちている。

自動車のタイヤの跡はないし、ヘリが着陸できるほど広い場所は近くにはない。予備の靴を持っていて取り替えるなんて有り得なさそう。

(ここで怪我人を治療し、担架か背負って連れて行った人間がいる。殺人犯じゃなさそうだな。)

それが俺の出した結論だった。誰にでも出せそうな結論だったが。


日がそろそろ沈むので燻製肉(何の肉かは不明)を少し食べて、毛布みたいなでもただの布切れを体に巻きつけその辺の草の上で寝る事にした。

状況もわからない状態で歩き続けたせいかすぐ眠れそうだ。

日の入り前に眠りにつき、日の出に起きる。昔はそんな生活が当たり前の時代があったらしい。

(でもさあ、24時間営業のコンビニを常識としてる文明人には不可能じゃね?)

寝るのは中断。

ポケットからPSPを出し即座にスリープを解除。残り時間やアイテムの残数をチェック。報酬金は残り3分の2。
やばい…電池があと1目盛りしかない。すぐに液晶のバックライトの出力を抑える。

そしてやっぱり残り時間が減らない。討伐達成してないにも関わらずだ。

「バグかなー。そんな情報聞いたことなかったけどな。」

不安になって声に出してみる。バグなんて一々確認してないので判らないが友達からも聞いたこともない。

クエリタしてみた。できない。再起動してみた。できない。ただ休止状態になるだけだ。ディスクを抜いても変わらず次のエリアをロードした。
山菜じじいからゲットした千里眼の薬を飲んでみたが飛竜がマップに表示されない。
全エリアを歩き回ったがやはり討伐対象も見つからなかった。

空が暗い。街頭もない今PSPの画面を切ると真っ暗だ…なんだか怖くなってきた。

(こ、怖い…木の上とかで寝た方がいいかな?)

PSPの光を頼りに太い木の上によじ登った。

(どこまでも行っても森の中。もうヘリしかない。明日こそは、救助ヘリが飛んでいますように。)





翌朝、
顔も洗わず、皮袋に入った不味い水を飲みながら血が途絶えた地点から歩き始めた。

病人を背負っても歩き易いだろう道を、または背の高い草が生えていない道を、もしくは空が良く見える場所を選んで歩き始めた。

そう、彼らを救援にくるだろうヘリが飛んでいれば俺を発見できるような道を歩き始めた。

血痕の人達が移動するなら歩き易い場所を通る。遠くへは行っていないだろう。ヘリが着陸可能な場所を探すはずだ。その付近に彼等はいる。

他の可能性は勝手に棄却した。ヘリコプターが助けに来てくれない可能性も棄却した。

それが俺の出した結論だった。そして見当違いだった。

しばらく歩いた後、死体のあった場所が一番ヘリが着陸しやすそうなことに気づいた。

慌てて引き返す。

ちなみに、昨日は結局草の上で寝た。危険だってことは判ってたけどしょうがない。

(…マジで木の枝の上で寝るとかないわ。それって猿じゃね?)








第二話







空が白み始めたころ、誰かが近くで動く音で目が覚めた。

「…」

キールと目が会った。

「…すまない。」

長い沈黙の後彼が言った。眉間に皺を寄せ、申し訳なさそうに目を伏せ、しかし声はしっかりしたものだった。彼はハンターだから。
「ええ、急いだ方がいい。ポット村も危ないから。」
なぜとは言わない。助けてとも言わない。私もハンターだから…問題ない。問題ないけれど、思わず首に掛けたギルドカードをぎゅっと握る。


首から下げた二つのギルドカード。正式名称:ハンターズギルド認識票。しかし、ハンターの間では認識票をギルドカード・ギルドタグと呼ぶのが一般的。
ハンターネーム(ネーム)・ハンターランク(ランク)・所属するギルド駐屯所(ホーム)の印が刻まれている。ギルド創立時代にもいまだ一部で使われていた古典文字で刻まれている。
戦死したとき、仲間がそのカード一つを持って遺族に届ける。もう一つは死体に残し後の身元確認のためのタグとなる。
本当の意味でのギルドカードは駐屯所に保管してある。
それにはネーム、ランク、ホームの3つ以外にも、達成クエスト履歴、装備品傾向、授章した勲章、討伐モンスター数などの詳細なデータが記入されたカードである。
本人の申請でギルドカードの写しが発行される。ギルド認識票を身分証明書として使うことが多いので、写しを使う機会は少ない。


「すまない。」

彼はもう一度同じ言葉を口にして、振向かず歩いていった。

私は彼にギルドカードを渡さなかった。なぜならまだ私は死んでいないから。

彼はずいぶん食料を置いていったようだった。この分なら10日以上は持つかも。
飲み水が足りないから川へ下りなくてはならないけど。

不味い頑固パンを水でふやかす間に適当な木を探し即席の杖とした。

(どうせ後10日の命なんだから!)

痛む足、左手は動かず、右手は動く。逃走時の腕の痺れは投げナイフの毒だったのだろう。傷口からごく少量進入したのだ。
頑固パンは問題なく食べられたし杖も持てる。傷口には故郷の秘薬を塗ったので、杖を使えば歩けるだろう。


歩ける。二人の所へ行こう。

(二人とも獣やモンスター達に食い散らかされてなければいいけど。できるかわかんないけど埋葬してあげよう)

ガ-ティもビックスも今回のクエストで初めて会ったけどハンターズギルド所属のハンターならばいつものこと。
大きな街のギルドの集会所ではクエストメンバーの募集でごったかえしているのだから。

私の父も母もハンターだった。母さんは私を妊娠した時にハンター業を引退した。

父は私が母の片手剣を片手で振り回せるようになるころには戦死していた。口癖は「それでもハンターか!」
「泣くな!それでもハンターか!」とよく叱られたこと。私がハンターでない幼児であることは承知の上での叱咤は懐かしい。
私はそれほど泣き虫だったのだ…いや昨晩を思い出す。今も泣き虫かも。

父はそれほど腕のいいハンターではなかったが、幼い私は父が敗れることなど信じられなかった。

(さいきょー = おとうさん)

幼い私はそんな戯言をホンキで信じていたのだ。その父さんも死んだ。

その後、母さんに師事して数年間、厳しい訓練も耐え抜いた。

けれど母さんが病に倒れた。私は訓練を続けながらも母の看病をする毎日を送っていたが、母は快復することなく息を引きとる。
泣いた。父の言いつけも守らずに泣いた。悲しかったが落ち込んでいる余裕はなかった。

私は母の死を期に同時にハンターズギルドの門を叩いたのだ。

その時、私は13歳。近年若年化すギルド。所属を希望する若年ハンターの仲でもでも若すぎる。普通は体が成長しきるまでは危険なハンター業に就く者はあまりいない。
その普通ではない人間が私だった。ハンターをやる以外には、体を売るぐらいしか生きるすべをしらない子供だった。

ギルドへの入門は一定以上の身体能力と戦闘能力があればいいのだ。言い換えれば走り回るスタミナと剣を振る体力。
走る。剣を振る。それだけのスタミナと体力があればいい。つまり健康ならば誰だってなれる。

私は幼い頃から両親から英才教育を受けていたから優秀だった。とにかく私はギルド所属のモンスターハンターとなった。

実践こそ未経験だが剣士・ガンナーからタル爆弾の調合・起爆までこなすオールラウンダー。けれども若すぎる私は信用もなくソロ狩りが基本だった。
時々は今回のような遠征もする。その際には、採集、調合、後方支援、近接戦闘と自分の力を見せ人脈を広げるように努力した。

ハンターランク(HR)はまだ低いが、父を超える日も近いだろう。そうなるだろうと思っていた。そうあるよう努力した。

私は努力をしたし実力も将来もあった。



私はもうすぐ死ぬ…また泣きそうだ。
この体中に走る痛みと発熱が私を弱気にさせる。

「だけど…はあ……なッ!?」

とっさに杖を構える。意識が散漫になっている。

(馬鹿か私は!それでもハンターか!)

驚きの表情は一瞬で消えて、目を細め目の前にいる珍妙な格好をした男を睨みつける。

男は両手に白い光るプレートを持っていた。彼はそのプレートから目を離すとこちらに目を向ける。

「え、えきゅすきゅーじゅみー」

彼は良くわからない言葉を投げかけてきた。





(初稿:2010.12.04)





モンハン日記

12月3日 晴れ
プレイ時間 8:56
使用武器:ボーンアックス改

スラッシュアックスは謎です。変形とか有ってダメージ効率が判らないです。どの攻撃を繰り出せばいいんだろ。適当に振ってます。カッコイイし。
クマを狩りましたよ。誰もいないのにブンブン爪を振り回すクマかわええ。SEがゴツイだけに空回りっぷりが萌えです。
あと弟が購入!試験前なのに大丈夫か弟よ。



みなさん、ちゃんと買いましたか?しっかり狩ってますか?



感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.00252294540405 / キャッシュ効いてます^^