2010年12月1日3時57分
【ワシントン=村山祐介】民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電で、北朝鮮の「説得」を巡る米国と中国の水面下の攻防が明らかになった。挑発行為をエスカレートさせる北朝鮮に対するいらだちや誤算も浮き彫りになった。
「北朝鮮は米国と直接対話をしたいから、大人の気を引く『駄々っ子』のような行動をしているのだ」
2009年4月30日、中国外務省の何亜非次官は昼食をともにした米大使館幹部にそんな表現で北朝鮮との対話に応じるよう口説いた。弾道ミサイル発射を非難する国連安全保障理事会の議長声明に反発し、北朝鮮が6者協議離脱を表明したばかり。米側は「平壌の不品行を増長させないよう用心深くあるべきだ」と慎重姿勢を崩さなかった。
その後、北朝鮮は5月25日に2度目の核実験を強行。6月13日にはウラン濃縮に着手したことも発表した。
「度を越している」。3日後、中国政府高官は北京市内で米大使館幹部にそう憤った。中国も北朝鮮に抗議したが効果がなかったとし、「北朝鮮を動かせるのは米国だけだ」と訴えた。高官はウラン濃縮については「初期段階に過ぎない」としたが、北朝鮮の濃縮施設公開で過小評価だったことがはっきりした。
昨年9月29日朝、何次官は北京市内のホテルで米側に対し、数日後に控えた温家宝(ウェン・チアパオ)首相による北朝鮮訪問について「我々は北朝鮮のことが好きではないかもしれないが、隣国なのだ」と説明した。中国による米朝間の仲介を北朝鮮が嫌がっているとも訴えた。
ボズワース米北朝鮮政策特別代表は12月上旬に訪朝。そのさなかの9日、中国共産党対外連絡部の王家瑞部長は訪中したバーンズ国務次官に「北朝鮮にだまされる不安は分かるが、心配はいらない」と対話継続を求めた。