韓国左派政権下で北が手にした核とミサイル(下)

「太陽政策=平和」という虚構

 金大中・盧武鉉両政権時代に安全保障部局の当局者だった人々は最近、「李明博(イ・ミョンバク)政権の対北強硬策が、北朝鮮の核能力を大きく向上させた」と話している。しかし、大統領府の当局者は、「遠心分離機1000基はおもちゃなのか。過去10年間、秘密裏に開発してきた装置を、最近取り出して組み立てたに過ぎない」と語った。05年に脱北した軍事科学分野の高官は、「2000年初めから遠心分離機の製造に着手した」と話している。金大中政権時代に当たる同年初めは、南北が初の首脳会談を準備していた時期だ。

 過去の政権は、2度にわたり南北首脳会談を行ったが、最初の合意文には「核」という文字がそもそも存在せず、2回目の合意文には「核問題解決のため努力する」という文言にとどまった。

正恩氏の登場と共に公開された「ムスダン・ミサイル」

 金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男で後継者の正恩(ジョンウン)氏は、今年10月10日の労働党創建日に行われた北朝鮮軍の閲兵式が、公式の「即位」イベントとなった。この記念すべき行事で北朝鮮は、新型の中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」を、外国メディアに初めて公開した。07年4月に登場したこのミサイルは、アジア・太平洋地域で米国の戦略拠点となっているグアムまでも射程圏(3000-4000キロ)に収めることができる。

 北朝鮮は過去10年間、核とミサイルの能力を同時に向上させてきた。その背景としては、「核兵器をミサイルに搭載してこそ、韓米にとって直接の脅威となり得るため」(白周承〈ペク・スンジュ〉国防研究院安保戦略研究センター長)と分析されている。北朝鮮が98年8月に発射した「テポドン1号」ミサイルは、約1600キロ飛行した。「金正日第1期体制」のスタートとなる最高人民会議(第10期)が開幕する、四日前のことだった。06年7月の「テポドン2号」は、発射から約40秒で空中爆発したが、09年4月の長距離ロケットは、3200キロ余りを飛行した。今や北朝鮮は、米国のアラスカやグアムまでも攻撃できる長距離ミサイル(射程距離6700キロ)の開発に熱中している。現在までに北朝鮮は、スカッド・ミサイル(射程距離300-500キロ)約600発、ノドン・ミサイル(射程距離1300キロ)約200発を保有している。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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