2010年12月3日12時58分
北朝鮮や韓国の子どもたちが描いた絵の展示を通じて交流する「南北コリアと日本のともだち展」が2日、渋谷区神宮前5丁目の「こどもの城」で始まった。今年で10回目。北朝鮮の砲撃などで朝鮮半島の緊張が高まる中、平和を願う子どもたちの声を伝えようとNPO法人などが今年も開いた。(上野創)
主催はNPO法人「地球の木」(横浜市)や「日本国際ボランティアセンター」(台東区)などによる実行委員会。会場の1階ギャラリーに北朝鮮、韓国、日本の子どもの絵を約300点展示している。在日コリアンの子どもたちも参加している。
作品には日本語とハングルで名前や年齢が書かれている。「将来の夢」「未来の世界は」などのテーマで、「サッカー選手になりたい」「歯医者さんに」「平和であってほしい」「きっと今より良い世の中に」などと、希望に満ちた答えが記されている。
今年5月から3カ国がリレー方式で取り組んだ共同制作の絵もある。絵本作家の浜田桂子さんが協力。大きな紙に3カ所からのびる道が描かれ、合流して1本の道となり、「おまつり広場」でゴールするというもの。5月に東京、8月に平壌、9月にソウルで子どもたちが描いた絵を貼り付け、完成した。
「ともだち展」は、北朝鮮の人道支援をしていた団体が01年、「国同士が仲良くなり、いつか出会う友だちと絵で交流しよう」と呼びかけて始めた。00年に南北首脳会談が開かれて関係改善が期待され、02年にはサッカーW杯の日韓共同開催もあった。
しかし日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認め、北朝鮮によるミサイル発射や核実験、経済制裁などで関係は悪化した。それでも「こういう時期だから交流を続けたい」と関係者が力を尽くしてきた。
実行委員会事務局長の筒井由紀子さんは「今回の砲撃も本当に悲しい。でも、平和で明るい未来を描く子どもたちの絵は、大人たちが考えるきっかけをくれると信じている」と話す。
展覧会は入場無料。4日午後2時半からは会場近くの東京ウィメンズプラザ2階で、浜田さんらが共同制作などについて語り合う。こちらは入場料千円。問い合わせは実行委(03・3834・9808)へ。