辰野町立辰野総合病院で生まれた上伊那郡内の女児(6)に脳性まひの障害が残ったのは、医師の過失が原因として、女児と両親が約1億6700万円の損害賠償を求めた訴訟は、町側が原告に9000万円を支払うことで和解することになった。同町議会が3日、和解金支払いの議案を可決した。
和解について、原告代理人の弁護士は「早期に解決することが原告の利益になると考えた。一定の過失があるという前提の金額と受け止めている」と話しており、21日に地裁飯田支部で和解が成立する見通しだ。
一方、矢ケ崎克彦町長は「裁判で争うのではなく、子供が障害を負った苦しみを重くとらえて和解を決めた。同じようなことが二度と起きないよう、態勢づくりをしていきたい」と話した。
訴状によると、04年8月、同病院で自然分娩(ぶんべん)する予定だった女児の母親(43)が破水。約30分後に診察した医師が帝王切開をしようとしたが、準備が整っていなかったため、吸引分娩で出産した。女児は仮死状態で生まれ、脳性まひになったという。裁判では医師の注意義務違反などが争われたが、裁判所が和解を勧告した。【武田博仁】
毎日新聞 2010年12月4日 地方版