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エコチル調査:「さい帯血の不足招く」 バンクネット、国に改善求める

 化学物質が子どもの成長に与える影響を探る環境省の大規模調査が、白血病などの治療に影響が出かねないとして、さい帯血バンクを統括する「日本さい帯血バンクネットワーク」(会長・中林正雄愛育病院長)が改善を求めていることが3日、分かった。調査がさい帯血を使うため、患者に十分供給されなくなる恐れがある。ネットワークは国に対し、バンク提携施設を対象から除外するよう近く要望書を提出する。

 最近、子どもにぜんそくやダウン症などの患者が増え、原因としてダイオキシンなどの化学物質が指摘されている。

 環境省は原因と対策を考えるため、来年1月から「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)と名付けた調査に着手。全国の胎児約10万人を13歳まで追跡する。

 調査では妊婦の血液や尿、新生児のさい帯血が必要になる。このうち、移植用さい帯血の採取には熟練した技術を持つ提携施設の存在が欠かせない。エコチル対象施設には、108の提携施設のうち31施設が含まれる。

 さい帯血移植は年間約1000件実施され、その8割が大人向けだ。大人に移植するには約60ミリリットルのさい帯血が必要だが、採取が難しく1回の出産から必要な量が得られる割合は1割に満たない。中林会長は「提携施設のさい帯血がエコチル調査で使われると、大人の患者に回らなくなる」と懸念する。

 移植を目的としないさい帯血ならば、大半の産科施設で採取できる。環境省は毎日新聞の取材に「影響が生じないよう調整する」としている。【藤野基文】

毎日新聞 2010年12月4日 東京朝刊

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