2010.8.19 09:19
■代替手段持たず…難民
10日夕から12日未明にかけ、国内最大級のSNS「mixi」がアクセス障害に陥り、登録者2102万人(7月末現在)が「インフラ寸断」に見舞われた。イベントの開催やグッズの譲渡など多目的に使用していながら、代替通信手段を持たないユーザーもいたためだ。
「このまま障害が続いてイベント当日になったら、と考えるとゾッとした」。mixiを通じて音楽愛好家による演奏会を主催する埼玉県の自営業の男性(29)はこう振り返る。男性のコミュニティーでは14、15日に演奏会を控えていた。約2600人が所属する大所帯で、mixi以外の連絡先を確保していなかったのだ。
SNSは、メールアドレスや電話番号を知らなくても、互いにページにアクセスし合うなどして気軽に連絡できるため、連絡先を交換しないケースが少なくない。「参加者に安心感を持ってもらうために、障害時に復旧の見通しを伝えるツールが欲しい」と訴える男性は今後、外部サイトでの対応も考えているという。
今回のアクセス障害について、mixiを運営するミクシィ(東京都渋谷区)は「複数のデータキャッシュシステムが、同時に異常終了し、本体への負荷が急増したため」と説明。同システムは、ユーザーがページなどを閲覧する前にデータを先取りして保存し、サーバー本体の負荷を軽減しているが、これがダウンしたため、本体にアクセスが集中してしまった。
mixiは、アプリの導入など多機能化が進み、利用方法は多岐にわたる。今年に入り、月間PV(ページビュー)は300億を超えることも。
面識のない別のユーザーとコンサートチケットを購入する約束をしていた神奈川県の会社員の男性(31)は「復旧しなかったら、チケットが入手できなかったかも」と語る。
また、ゲームの進捗(しんちょく)や友人の日記を頻繁にチェックする「mixi依存」のユーザーもおり、多くが「孤立感は半端なかった」「mixiがなければ、(mixiの友人に)もう会えないかもしれないと思った」などと振り返っている。
メディアジャーナリストの津田大介さん(36)は「信頼できる相手なら早めに連絡先を確保しておくのがいい。ひとつのSNSのIDだけでなく、複数を持っておくといざという事態への備えになる」とアドバイスしている。(織田淳嗣)