【コラム】彼らはなぜ、北に怒りを覚えないのか(下)

 さらには、「北朝鮮が極度に好戦的な集団だということを知らなかったのか。その好戦性を管理し、緩和させるのが、韓国の役割だ」とも主張した。腹が立つからと言って街のあちこちに火を付けたり、住民に暴行を加える不良どもを、規律に従って制するのではなく、彼らを怒らせないよう機嫌を取るべきだ、という論理だ。その一方で、韓国の国民に対しては、戦争に対する恐怖心をあおり、「戦争か平和か、どちらか選べ」と迫っている。

 進歩・左派陣営には、北朝鮮のとてつもない行為を目の当たりにしても怒りを見せない、もう一つの論理がある。それは、北朝鮮による一連の行為は「分断体制」の産物だから、というものだ。国家分断の状態が解消されない限り、韓国も北朝鮮も「正常な国家」にはなれないため、北朝鮮で権力世襲のような正常でないことが起こるのは当然だ、との主張だ。こうして、あらゆる原因を「分断体制」という虚像に押し付ければ、万人の怒りを買うような事件でも、誰も責任を負わなくてよいことになる。実に珍しく、都合のいい論法だ。

 李大統領は、延坪島砲撃に関する談話で、「これまで北朝鮮政権を擁護してきた人々も、これで北朝鮮の真の姿を悟ったはずだ」と述べた。だが、大統領の思いとは裏腹に、進歩・左派陣営が北朝鮮に対する認識を改める可能性は期待できそうにない。ならば今回、北朝鮮の実態を改めて確認した大多数の国民が一致団結し、このような陣営を窮地に追い込むべきだ。

李先敏(イ・ソンミン)文化部長

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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