2010年12月4日1時51分
民間告発サイト「ウィキリークス」が米政府の外交公電を暴露している問題で、菅政権も外務省を中心に対応に追われている。5千件以上あるとされる日本がらみの公電から、何が飛び出してくるか分からない。政権は表向き静観しているが、中身によっては大きな打撃を受けかねないと戦々恐々だ。
「それに関するコメントは致しません」
1日、ウィキリークスの暴露問題を記者団に問われた菅直人首相の答えは素っ気なかった。仙谷由人官房長官は3日の会見で、米国のルース駐日大使から2日に前原誠司外相へ事実関係の説明があったことは明らかにした。ただ中身については「非常に微妙な外交上の問題なので、申し上げるのは差し控える」とするのにとどめた。
政府関係者によると、菅内閣の閣僚らの回答は「コメントしない」「事実関係の調査もしない」と統一することにしているという。
その一方で、外務省は連日、リークされた内容のチェックに躍起だ。自分が関与した交渉などの中身が漏れていないか個人的に調べる職員も。米国や中国の日本大使館も日本がらみの内容を見つけ次第、要点のメモを関係部局に配布。「ウィキリークスを片っ端から調べないといけない時代なのか」(幹部)との嘆きも聞こえてくる。
ウィキリークスが入手したとされる米外交文書25万件のうち、公開されたのはまだごく一部。日本がらみの公電は5千〜6千件と言われている。政府高官によると「日本関係の情報が4番目に多い」との情報もあるという。
外務省幹部の一人は、テロや安全保障関連の情報の暴露を最も危ぶむ。米国の情報源と分かると命の危険にさらされるケースもあるためだ。日本関連でもすでに、ミサイル防衛で米国が武器輸出三原則の見直しを求める内容の公電が暴露された。今後、新たに防衛省関連の内容などが暴露されれば、大きな問題に発展する可能性もある。