2010年12月4日3時1分
日米両政府は近く、北朝鮮国内の混乱や難民の大量発生などの非常事態への対応策を巡って政策協議を始める。金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康不安に加えて三男、正恩(ジョンウン)氏への権力移行期に入り、事態が一気に流動化する可能性が出てきたためだ。週明けに米ワシントンで開かれる日米外相会談の際にも取り上げられる可能性がある。
政策協議は日本側から求めていた。11月の日米首脳会談で来春の共同声明の発表に合意したのを受け、菅直人首相が外交当局に協議開始を指示した。年内にも日米外交当局の実務者が会い、想定すべき非常事態のケースや相手国に求めたい協力など基本的な意見交換を始める予定だ。
外交当局による政策協議を進めながら、日米の防衛担当者も交えた協議に発展させるかどうかも検討する。最近、北朝鮮軍の韓国砲撃やウラン濃縮問題、核実験をほのめかす動きもあり、協議が加速・変化する可能性もある。
米韓両国がすでに策定した概念計画「5029」も参考にする。同計画は、金総書記の死去や難民の大量発生、大量破壊兵器の流出など六つのケースを想定。米韓両軍が具体的にどう対応するかを定める共同作戦計画の策定を急いでいる。
日米の協議にあたり、日本側は北朝鮮から発生した難民への対応策、米国側は大量破壊兵器の流出阻止にそれぞれ強い関心を示している。
ケースごとに在韓米軍や自衛隊を含む両国政府の役割や方針を協議。国連安全保障理事会での対応方針や、北朝鮮情勢に強い影響力を持つ中国への外交戦略などについても意見交換する見通しだ。
日本側は、菅首相が来春の訪米時にオバマ大統領と発表する予定の共同声明に、北朝鮮の脅威への共同対処を盛り込むことを検討。日本政府としては、まず同盟国の米国との間で共同対応策を練り、将来的には韓国との意見交換も視野に入れている。