昨年、米国の大学進学適性試験(SAT)を受けた高校生の成績は前年に比べ全般的には変化はなかったが、アジア系学生だけは引き続き顕著な伸びを示した。
13日に発表された試験結果によると、2010年の高校生卒業生の平均点は読解が501点と前年から変わらず、数学が515点から516点へと上昇した一方、小論文は493点から492点へと低下した。
総合点の平均は満点2400点中1509点で前年から変わらず。これは2006年に小論文が加えられて以来の最低だ。
唯一の明るい材料はアジア系学生の成績で、2009年に比べると読解で3ポイント、数学で4ポイント、そして小論文で6ポイントの上昇となった。
2週間前に発表された類似の試験ACTの結果では、大学1年生向け授業に必要な学力を持っているのは全米の高校生の4分の1にすぎないことが示された。この試験結果は、オバマ米政権の大学卒業率を高めようとの取り組みの課題を浮き彫りにしている。
SATを実施する非営利団体カレッジボードのガストン・カパートン理事長は「今回のリポートで大学進学への準備にはごまかしも近道もないことが確認された」と述べ、「米国が今回のリセッション(景気後退)から抜け出すなか、われわれは真の景気拡大の原動力、つまり教育に注力しなければいけない」と強調した。
SATの試験結果は、この試験が米国の優秀な大学への進学を目指す高校生の学力達成度を測るものとして非常に注目度が高い。今年卒業の150万人以上の学生が試験を受けた。3科目はそれぞれ最低が200点、最高は800点で採点される。
今回の受験者の約42%はマイノリティで、非白人の比率としては過去最高。非アジア系マイノリティは白人系学生に比べると成績はかなり劣る傾向が続いている。読解の平均点は白人系の528点に対し黒人系では429点だった。
ワシントンDCの非営利組織、教育改革センターのジーン・アレン理事長は「民族間での達成度の差が、引き続き米国の子供たちを危険なほどに差別している。われわれは投資を増やしているのに、差は拡大している」として「教育制度改革への努力を倍加しなければならない」と強調した。
SATの結果は高校でコアカリキュラムを受講した学生は受講していない学生よりも平均で点数が151点高かったことを示している。ここでいうコアカリキュラムとは4年間の英語、3年間の数学と科学、歴史をいう。
カレッジボード関係者は、アジア系学生の点数が2000年以降、読解で20ポイント、数学で26ポイントと急上昇したことには、学生が選択した授業が関係しているとしている。高校で少なくとも4年間科学を受講した学生の割合は全体では59%だったのに対し、アジア系では3分の2以上だった。また、48%以上のアジア系学生が微分積分を受講しているが、アジア系を除く学生は28%にすぎない。