そうしたことはお手の物なのである。しかし、1つ落とし穴がある。中国の(易姓革命という美名の下の破壊の)思想も(惨たらしい殺戮の)文化も日本には文献などが保管されていることである。
実行者がすり替えられ、写真が組み替えられても真実を判読できるし、殺戮の実行手段や方法などは日本人には考えも及ばない中国式となれば、結論はあえて口外するまでもない。
菊池寛は、反日運動の絶えない満州の荒野にあって満鉄が営業開始した明治40(1907)年から35年間の歴史を客観的な目で振り返っている。
総じて言えば、約束が繰り返し反故にされるという顛末をとめどなく書き、シナ人との闘いの連続であったことを記している(『満鉄外史』)。
他方で、自ら中国革命を支援した日本人に内田良平や宮崎滔天などがいた。内田は長年にわたる革命支援の体験から得た支那および漢民族に対する認識と、当時の情勢に対処するための対支戦略の書として『支那観』を書いた。
そこでは「政治社会(今日いう共産党指導層)と普通社会(一般大衆)が完全に分離しており、支那の革命を国民の発意による西洋の革命と同一視するのは間違い」など鋭い指摘をしている。
日本の採るべき道を具体的に指し示した国家戦略の書であるが、表層にとらわれないで国家と民族性を分析している点は今日にも通じている。
日本人の分析で偏りがあると疑う向きには、米国国務省のアジア部長で、後には中国公使として勤務し、ジョージ・ケナンがその透徹した歴史観を褒めたジョン・マクマリーの『平和はいかに失われたか』を一読すればよい。
中国を近代化させようと作られたワシントン条約体制、これをがむしゃらに壊そうとした約束破りの常習犯――それが中国であることが鮮明に浮かび上がってくる。
終わりに
先には「東アジア共同体」という誘い水(もともと中国が数年前に言い出したこと)に乗ろうとしたが、一瞬にして色あせた。
また、鳩山由紀夫前首相が提唱した東シナ海を「友愛の海」にすることは領土割譲の亡国につながる暴論であることが明確になってきた。同じ漢字用語を使っていても日本と中国は同床異夢であることもハッキリした。
今また「戦略的互恵関係」が叫ばれている。中国の日中中間線におけるガス田対応を含め、「戦略的互恵関係」が意味するところ、日本に及ぼす影響を分析し、先に述べた「中国」をしっかり認識したうえで日本の安全保障戦略構築の基本認識にしてほしい。
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~The Economist 日本特集(10/10)~ (12月03日) - ■Financial Times中国に北朝鮮を見捨てる気はない (12月03日)
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