呉市が12年4月から一括民間委譲する方針の市交通局のバス事業について、同市は30日の市議会公共交通問題対策特別委員会で、広島電鉄を事業者に選んだことを明らかにした。同社と中国ジェイアールバスの2社が応募したが、再雇用や給与面などで広電の評価が上回った。
審査基準は、運行の実現性▽安全性▽効率性のほか、路線維持の安定性や乗務員の処遇など9項目。
呉市の財政負担額は、公営を維持すると11~15年度の年平均約15億円。民間委譲した場合、広電は最高で年額8億5000万円、中国ジェイアールバスは最安で7億2000万円の補助を求めた。呉市は上限を9億円とする考えを示した。
職員について、広電は乗務員240人と運行管理者17人を正社員として雇用、整備員らは関係会社へ雇用紹介するとした。中国ジェイアールバスは全職員を契約社員として雇用する考えだった。広電は土地や建物は無償貸付、車両は無償譲渡、老朽化したバスの更新や業務移行に伴う初期費用の補助を前提としており、市側は同社と協議する考え。
特別委では、議員から路線維持や高齢者優待の持続を求める声が出た。民営化反対の声について、礒本勝・市交通企業管理者は「公営維持について、大きな声は聞いていない」と話した。【矢追健介】
毎日新聞 2010年12月1日 地方版