滋賀・米原市し尿タンク女性殺害事件裁判員裁判 勤務先の上司だった男に懲役17年の判決
滋賀・米原市で交際していた勤務先の部下の女性を殺害した男に対して、懲役17年の判決が下された。
大津地裁で2日午前に出された判決は、「被告を懲役17年に処する」というものだった。
被告は、ややうつろな目で、淡々とその読み上げに聞き入っていた。
事件は2009年6月、滋賀・米原市のし尿タンクの中から、派遣社員で当時28歳の小川典子さんの遺体が発見されたもの。
死因は、汚水を飲んだことによる窒息死だった。
殺人の罪で起訴されたのは、小川さんの勤務先の上司だった会社員・森田繁成被告(41)。
しかし、森田被告自身は、「わたしは小川典子さんを殺してはいません」と話していた。
不倫関係にあった小川さんに関係を暴露されるのを恐れ、犯行に及んだとする検察側の指摘を一貫して否認。
また、森田被告の車にあった小川さんの血痕についても、「鼻血である」などとし、無罪を主張してきた。
判決の中で、裁判長は「社会常識に照らせば、被告が犯人と実証されるのは合理的」とし、さらに、車に血がついた経緯などについて、「被告の供述は信用できない」と指摘した。
犯行に計画性が見られないものの、反省の態度もまったくないとして、無期懲役の求刑に対し、懲役17年を言い渡した。
被告が全面否認のまま、状況証拠を積み上げての起訴という裁判員にとって難しい判断となったこの裁判。
審理は10日間にわたり、裁判員裁判としては過去最長に並ぶ公判となった。
この判決を受け、小川さんの遺族が、「裁判官、裁判員の皆さまのご判断に、心より敬意と感謝を申し上げます。ですが、懲役17年という判決は、残虐な殺され方をした娘のあの顔を思い出すと、納得することはできません。自白も反省も謝罪もない被告を、わたしたち家族は、絶対に許すことはできません」とコメントを発表した。
(12/02 17:47 関西テレビ)