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【滋賀】

「真実話してほしかった」 懲役17年判決

2010年12月3日

判決の言い渡しを聞く森田繁成被告。法壇からは裁判員が被告を見守った=大津地裁で(イラスト・構成山岡明日香)

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 2日に大津地裁であった米原女性殺人事件の裁判員裁判の判決公判。1カ月に及ぶ審理の末、裁判員が森田繁成被告(41)に下したのは懲役17年の判決だった。裁判員は1つ1つの証拠や証言を評価、被告が交際相手の小川典子さん=当時(28)=を殺害したと認定した。身動き1つせず1時間半に及ぶ判決を聞いた被告。裁判員は会見で「本当のことを言ってほしい」と本音を漏らした。公判には、439人の傍聴希望者が53の傍聴席を求め列を作った。

 判決が言い渡された後、裁判員3人と補充裁判員2人が記者会見し、裁判に参加した感想や被告への思いなどを語った。裁判員は男性が2人、女性が1人。補充裁判員は女性2人で、うち1人は公判2日目から解任された男性裁判員と交代していた。会見の主なやりとりは次の通り。

 −1カ月という長期裁判は負担に感じたか。

 女性裁判員A 1カ月と言われたときは不安だったがやり終えて短かった。

 30代女性裁判員B 鹿児島での裁判に次いで(審理日数が)2番目(29日間)に長いということで、「うわっ長い」と思ったのが本心だが、1カ月やってみて早かったなと思った。

 50代男性裁判員C 選ばれて会社の人事部に尋ねたら、前向きにやってこいというアドバイスをもらった。仕事に対して負担とは感じなかった。

 女性裁判員D 体力的にどうかと思ったが、評議に参加できて良かった。

 −被告が否認する事件で難しいと感じたか。

 50代男性裁判員E 被告が黙秘していることで、1つ1つの状況証拠に対して検察側、弁護側が違うことを言うので、細かい部分まで議論した。家に帰っても、どうなのか考えてしまい精神的な負担はあった。早く寝るためにお酒の力も借りた。

 裁判員C 検察側の証拠に基づいて判断するので、被告が無罪の可能性があることを常に念頭に置いていた。遺族や被告の家族についても考えなければいけなかったので、非常に難しいと感じた。

 −判決は被告にどう伝わったと思うか。

 裁判員B (被告は)ずっと下を見てちゃんと聞いているのか分からなかったが、言い渡しが終わって顔を上げたとき、「ついに決まったか」というような顔をした。

 裁判員C どう受け取ったかは被告の表情に出なかったが、真摯(しんし)に判決を聞いていたなという感じはあった。

 −被告に言いたいことはあるか。

 裁判員A どこかの場面で本当の自分の気持ちを言ってほしかった。

 裁判員E (自分たちは)最善の努力をして最善の判断をしたと思っているが、真実は分からなかった。その点についてはコメントを控えたい。

 −この判断で良かったのかという不安はあるか。

 裁判員B 長い時間をかけて、皆で議論をつくして決めた判決なので納得している。

 裁判員E 判決には裁判員の意見も盛り込んである。われわれは自由に発言できたので、(裁判官と裁判員の)12人総意の判断が出せたので不安には思わない。

 −守秘義務については負担になるか。

 裁判員E 評議の中でしゃべったことを漏らしてはいけないということはある意味、線が引いてあると思う。明日から周りに聞かれるかもしれないが、「それは言えん」と言えばいい。

 −証拠が少ないと感じたことはあったか。

 裁判員C ありました。裁判員にとって状況証拠だけで判断するのは難しい。科学的捜査のデータが欲しいと思った。

 −事件報道の見方は変わったか。

 裁判員B 新聞やテレビのニュースを前より見るようになって、この事件はこうだなというように考えるようになった。

 

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