原子力 | 歴史
■放射線の発見 1895年、レントゲンが謎のビームX線を発見し、ベクレルはウランが発する同様の謎のビームを発見して、これらは放射線と名づけられた。3年後ピエール・キュリー、マリー・キュリー夫妻がラジウムを発見してここから放射線の研究が始まった。
■1938年 ドイツのオットー・ハーンにより原子核分裂が発見される。
■1945年 米国のマンハッタン計画によって核分裂反応を利用した最初の原子爆弾が製造される。広島・長崎に原子爆弾が投下され、原子爆弾が実際に使用される。このとき得られたデータは放射線障害の重要なデータとして現在でも使用されている。第2次大戦以降、世界の大国による核兵器開発が行われる。
■1954年 英国において世界で最初の商用の原子力発電を開始した。
■1966年 日本の東海発電所において日本で最初の原子力発電を開始した。原子力は未来のエネルギーとして期待され、歓迎された。
■1979年 米国のスリーマイル島原子力発電所で運転員の誤操作により炉心溶融事故が起こった。放射性物質の放出は防げたものの、周辺住民10万人が避難した。この事故以降、原子力に対する批判的な機運が高まった。
■1986年 旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で実験中に爆発事故が起こり、放射性物質が環境中に放出され47人が急性の放射線障害で亡くなった。2006年のIAEAの報告では、晩発の放射線障害を含む死者の推計数は約9000人とされており、原子力発電所の事故としては最悪の事態となった。
■1999年 茨城県のJCOにおいて正規の作業手順を無視したことにより臨界事故が起こり、大量の放射線を浴びた作業員2名が、急性の放射線障害で亡くなった。戦後日本で初めての原子力による死亡事故である。
1999年には世界の発電所で425基の原子炉が稼動し、年間で35,943万kW年の電力が発電された。この他にも原子力空母と原子力潜水艦で動力用原子炉が使用されている。2003年には日本の発電所では52基の原子炉が稼動し、年間で3,357万kW年の電力が発電された。これまでの原子爆弾の実戦での使用実績は2発であるが、核実験の回数は全世界で2000回を超えている。2003年の世界の原子爆弾保有数は約3万発である。
核融合発電の実用化は100年後とされている。