豊島新六段、王将戦挑戦
本日は王将リーグ最終戦一斉対局。最注目は挑戦者決定戦となった佐藤-豊島戦である。結果は後手番の豊島五段が快勝し、挑戦権と六段位をまとめ取り。20歳での王将戦挑戦手合い登場は初とのことであるが、豊島君の前評判を踏まえるともう少し早い段階でいずれかの大舞台に登場してもおかしくはなく、こういう結果もそれ程の驚きはない。
(※個人的には佐藤九段のタイトル復帰をみたかったが)
(※※将棋界では豊島新王将は普通に「あり」だが、窪田新棋王は「ちょっと待って」というコンセンサスがあると、先日、ある棋士から聞いた。)
この将棋、不思議な展開で、佐藤九段が横歩取りを回避したのに対し、豊島五段が構わず中原囲いを指向。結果として横歩のある横歩取りのような将棋となった。そういう将棋になってみると、3四歩のいる後手の陣形というのは、3三に桂馬が跳ねやすい一方、飛車の横利きが弱く、一長一短。2三歩が駒台に乗っていないので、機動的な攻めもしにくそう。どうするのか、と思っていたら、構わず豊島五段が仕掛けた。1図の△7五歩である。仕掛けられてみると、まぁ、当然かな、という感もある。後手陣には進展性がないのだから。
▲同歩△8六歩から飛車が7六に回れるようなら、一廉の攻めである。佐藤九段も▲同歩だとやりたい放題に攻められると読んだのか、▲2五飛と浮いて飛車で後手の攻めを押さえようとする。しかし、△3五歩▲同飛△8八角成▲同銀△3三桂と進んでみると、飛車の能力の彼我の差が大きく、後手がうまくポイントを稼いだようだ。
で、この後もよく分からないのだが、いずれにしても先手の方針の立て方が難しい。飛車をどうにかしないといけないと思うのだが、もうそういうことを望める状況でなかったのだろうか。2図の▲8二角は中座飛車出現以降、「こういう角を打って幸せになった人はいない」という類の手である。先手玉は中住まいゆえ、左右どちらから攻められても直ぐに切っ先が届いてしまうのに対し、後手玉は鉄壁で、香車1枚を拾ったところでどうにもならない感触がある。
本譜は1筋方面で手を作られてしまい、香車で反撃したかったところを、9一馬の遊びに我慢がならなかったのか、▲4六歩と突いて馬の活用を試みたのだが、この手がどうもよくなかったような印象である。以下、豊島五段の攻めが間断なく続き、佐藤九段は根性の粘りをみせたが押し切られた。
この将棋についていえば、やはり横歩を取らなかったため、先手の攻撃のポイントが定まらなかった、ということになるのではないだろうか?
豊島新六段は錚錚たる棋士達を倒しての挑戦なので、大いに期待したい。というか、私は豊島乗りです。
1 ■お久し振りに書き込みます
@せんすさんへ
私は未だ、どちらか乗りの予想を立てていません。
豊島六段の王将挑戦に衝撃を受けつつ、好勝負に期待して止まない次第です。
>(※※将棋界では豊島新王将は普通に「あり」だが、窪田新棋王は「ちょっと待って」というコンセンサスがあると、先日、ある棋士から聞いた。)
将棋界という語は、しばしば恣意的に用いられる様に思います。
大らかに受け止めている積もりですが、『普通に「あり」』『「ちょっと待って」』からは共通したニュアンスが読み取り難く思いました。
『挑戦者が決定したので、何らかの基準に依り普通(50%?)にあり得ると判定した』『ちょっと後の挑戦者決定迄、ありなしの確率判定は待ってみる』と解釈しました次第です。
今度『ある棋士』氏にお合いした折りに、正誤及び私と今期棋王戦でご対戦なさったか等お訊き下されば何よりです(大逆転勝ちの将棋も、何局かありました……)。
挑戦権の帰趨はともあれ、せんすさんのお目に留まる様な名局を指せる様にと念願しております。