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【社説】中国の「血の負債」を暴く元保健省高官の告発

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 世界エイズデーに当たる12月1日、中国はエイズウイルス(HIV)にまつわる自国の不穏な歴史にわずかながらの光を当てた。国営メディアは、中国保健省が、1年前に発表した1980年代以降エイズで死亡した国民の累計数を、4万9845人から6万8315人に(何の説明もなく)上方修正したと報じた。

 ただし、実際の死亡者数は恐らくもっと多い。中国政府は過去20年、エイズのまん延を包み隠すことに躍起になり、その原因から目をそむけてきた。

Associated Press

Chen Bingzhong氏

 特に、河南省では、農村部の住民が血漿(けっしょう)を売る際に官民の血液採取所が不衛生な方法を用いたことが原因で、10万人がエイズウイルスに感染したとみられている。そのうち約1万人がエイズで死亡している。最初に警鐘を鳴らした活動家に対して、省当局が口封じをしたことで、感染は不必要に広がった。

 このようななか、この犯罪の責任の所在を追求するために立ち上がったのが、元保健省高官のChen Bingzhong氏だ。Chen氏は、非難の矛先を、権力の頂点に立つ中国政治局常任委員9人のうちの2人、李長春氏と李克強氏に向けている。

 李長春氏は現在、共産党宣伝部門の責任者で、李克強氏は2012年に引退する温家宝首相の後継者と目されている。いずれも、血液汚染が発生した1990-2000年代の期間に河南省で党書記に就任している。

 党高官に対するこのような公然の非難は、通常であれば身柄を拘束されかねない。だが、現在78歳のChen氏は肝臓がんを患っているため、今回は見逃される可能性がある。

 いずれにしても、Chen氏の道義的行為は称賛に値する。03年に新型肺炎(SARS)の隠蔽を告発し、その後1989年の天安門虐殺の再評価を迫った中国の軍医、蒋彦永氏と同じく、Chen氏が求めているのは指導者が自らの行為の責任を取ることだ。

 「彼らは上官にうそをつき、国民に真実を伝えなかった。その職務怠慢の罪は重い」

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